「言うほどクレイジーではない」「ラーションのケースに似ている」 ボアテング獲得のバルサについて専門家が持論を展開

2019年01月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

「変則的だがクレバーな補強」との意見も。

買い取りオプション付きのレンタルでバルサに移籍したボアテング。限られた出場機会の中でインパクトを残すことができるのか。(C)Getty Images

 1月23日のコパ・デル・レイ準々決勝第1レグで、セビージャに敵地で0-2と敗れたバルセロナのスタメンには、前日入団会見に臨んだばかりのケビン=プリンス・ボアテングの名前もあった。

 バルサがルイス・スアレスの代役が務まるアタッカーを探していたのは周知の事実。だが、その人物がボアテングになると予想した人は少なかっただろう。冬のマーケット最大のサプライズとの声もある。

 では、なぜバルサはボアテングを獲得したのか。英公共放送『BBC』が23日、専門家たちの見解を紹介した。

 世間と同様に驚きを隠さなかったのは、フランス人のジュリアン・ローレン記者。「バルサほどのクラブでも、金銭面に配慮しなければいけないとは」と述べている。

「彼らはあのポジションの補強に1億ポンド(約140億円)の選手を獲得したかったはずだ。なのに、信じられないよ。MSN(リオネル・メッシ、スアレス、ネイマール)でチャンピオンズ・リーグを制したクラブが、いまではボアテングだからね」

 だが、イタリア・サッカーに精通するジェームス・ホーンキャッスル記者は、サッスオーロでプレーしていたボアテングが、「開幕から6週間のセリエAベストプレーヤーだった」と話している。

「多くの人は驚くだろうが、彼は見事なプレーをしていた。これまで監督と悪い形で決別したこともないし、だれもが彼をリスペクトする。彼にはあのポジションのほかの選手たちとは異なるスキルがあると思う」

 ホーンキャッスル記者は、「サプライズだと見られているが、言うほどクレイジーじゃない。彼が全試合で先発し、50ゴール挙げることなどだれも期待していないだろう」と続けた。

「サッスオーロの人たちは、ボアテングがリーダーだったと言っている。複数の言語を使いこなし、他選手にとって基準となれる選手だ。かなり分別のある選手だよ」
 
 また、スペインサッカーに詳しいギジェム・バラゲ記者は、「エルネスト・バルベルデ監督が望んでいたのは、スペインでの経験を持つ9番だった。候補は限られる。監督はすぐにインパクトを残せ、役割を理解する選手を求めていたんだ」と述べている。

「ボアテングは自分がスタメンじゃないと認めている。彼はスアレスとは違うものをチームにもたらすための9番だ。バルベルデ監督がボアテングのラス・パルマス時代の指揮官であるキケ・セティエン(現ベティス)に連絡し、選手についてたずねたとき、『ビッグマッチではだれよりも力を出すだろう』という返答があった。それが決定的な要因だったんだ」

 さらにバラゲ記者は、「ラーションを覚えているかい?」と、バルサ加入時に32歳だったヘンリク・ラーションのケースに似ていると指摘した。

「ボアテングはすぐにインパクトを残すだろう。そして彼は、自分がレギュラーにならないことを分かっている。ラーションも自分の役割を把握したうえで戦っていた。ボアテングも同じだ。ちょっと変則的ではあるが、クレバーな補強だと思う」

 バルサでのデビュー戦は、スタメン出場を果たしたものの無得点のまま63分に交代。チームも黒星と不本意な結果に終わった。ボアテングは今後、バラゲ記者が話した「インパクト」を残すことができるだろうか。
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