「定年退職目前」からベトナムの英雄になった韓国人指揮官。日本戦でのジャイキリにも意欲「抜け穴は見逃さない」

2019年01月24日 ピッチコミュニケーションズ

アジア大会で韓国代表を率いたが、わずか3か月で更迭された

今年で60歳を迎えたパク・ハンソ監督。2017年10月にベトナムのA代表とU-23代表の兼任監督に就任し、瞬く間に同国のチームを立て直した。(C)AFC

 アジアカップで東南アジア勢として唯一のベスト8進出を決めたベトナム代表。グループステージを1勝2敗の3位で突破し、決勝トーナメント1回戦はPK戦の末にヨルダンに勝利。24日に行なわれる準々決勝では、森保一監督率いる日本代表と対戦する。
 
 ベトナム代表チームを率いるのは、パク・ハンソ監督だ。今年で60歳を迎えた韓国人指揮官は、2017年10月に代表監督(U-23代表兼任)に就任すると、昨年1月のU-23アジア選手権で準優勝、同9月のアジア大会では56年ぶりのベスト4進出を果たし、昨年12月にAFFスズキカップ(東南アジアサッカー選手権)で10年ぶりの優勝を飾るなど、国際大会で成績を残してきた。アジアでも弱小国と見られてきたチームを立て直し、今やベトナムで英雄と称される指揮官の采配は、日本戦でも注目を集めるだろう。
 
 もっとも、ベトナムへ渡るまでは、それほど高い評価を得ていたわけではなかった。

 現役時代もプレーしたKリーグのラッキー金星(現FCソウル)のコーチとして、1989年に指導者としてのキャリアをスタート。韓国代表がベスト4進出を果たした2002年ワールドカップ前後には、フース・ヒディンク監督を補佐するコーチを務めたことでその名が知られるようになり、同年の釜山アジア大会では代表チームの監督も任されたが、銅メダル止まりと期待以下の結果に終わった責任を問われ、就任からわずか3か月で更迭されている。
 
 その後もKリーグクラブを渡り歩いたが目立った成績は残せず、ついにはクラブからのオファーも途絶え、2017年には実業団リーグの昌原市庁の監督を務めていた。当時は「定年退職目前」と皮肉られていたほどだった。
 
 そんなパク・ハンソ監督がベトナム代表で成功できたのはなぜか。

 基本とするフォーメーションは5-4-1。その戦い方は、守備を固めてカウンターから得点を奪うスタイルとも言われるが、パク・ハンソ監督はこれをはっきりと否定している。
 
「我々のサッカーは守備サッカーではない。ベトナム選手に最も合うサッカーを展開している。実利サッカーと表現してもいい」
 
 ベトナム選手の長短所を見極め、それに合わせたサッカーを展開しているということだろう。

次ページ現在は母国の韓国でも評価を高め、「パク・ハンソ・マジック」と称されている

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