【サウジ戦|戦評】“らしくない”堅守でベスト8へ! 新たな戦い方に光明も、攻撃面には大きな課題が…

2019年01月22日 本田健介(サッカーダイジェスト)

柴崎、長友は手応えを語る

ベスト8進出を果たした日本。サウジアラビア戦では守備陣を中心に奮闘した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[アジアカップ・決勝トーナメント1回戦]日本 1-0 サウジアラビア/1月21日/シャルジャスタジアム

 日本"らしくない"戦い方だった。いや正確に言えば、アジア勢に対して日本が見せてきた従来のパフォーマンスとは大きく異なる戦い方だった。

 UAEで開催されているアジアカップの決勝トーナメント1回戦でサウジアラビアと対戦した日本は、「相手はポゼッションをしたがることは分かっていて、試合前にも握られるのは仕方ない、最終的な部分でしっかり身体を張って守れれば問題ないと確認していました」(長友佑都)と、守りに意識を傾けながらカウンターでの打開を図った。

 決勝点になったのも平均身長が低い相手の弱点を狙い、練習を繰り返してきたセットプレーからだった。柴崎岳の右からのCKに20歳の冨安健洋が代表初ゴールとなるヘッドで合わせてネットを揺らしたのだ。

 後半はサウジアラビアに自陣に押し込まれ、試合を通じてポゼッション率は23.7パーセントと76.3パーセントと、大きく水を開けられた。それでも守備陣は最後まで集中を切らさず、本来は攻撃が持ち味の原口元気、堂安律らもディフェンスに走り、1点を守り切った。
 
 ボランチでチームをコントロールした柴崎は、「カウンターでもう1点取れればベストだったが」と語りながら、チームの戦い方に対して手応えを口にした。

「結果が出たことがなによりで、勝つことに徹したという印象です。ある程度、ボールを握られるとの意識は統一できていましたし、チームがひとつの生き物のように戦えました。今までやってこなかったので精度を欠いた部分はありましたが、ただこういう戦い方はひとつのオプションとして今後日本代表の武器としても活かせると思います。ショートカウンターだけでなくロングカウンターも磨いていきたいです。僕はひとつの戦い方に固執する必要はないと思っているので」

 また長友も「これは成長だと思いますよ。今までの日本だったらボールを相手に握られると、ぼろが出て、やられているんですよ。今は皆、経験があって強くなっている。海外で厳しいなかでやっているので、メンタル的な余裕がある。握らしているんだぞと。最後のところで締めて集中しておけば問題はないと、メンタルが強くなりました」と評価する。
 

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