敵将も驚く! “スパイ活動”を認めた奇才・ビエルサが緊急会見で記者たちに説いた異様な分析術

2019年01月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

事の発端は“スパイ活動”?

サッカー界きっての知将・ビエルサの行き過ぎた分析が波紋を広げている。 (C) Getty Images

 サッカー界きっての"戦術オタク"として知られる知将が開いた驚きの記者会見が話題となっている。

 現地1月16日、リーズ・ユナイテッド指揮官マルセロ・ビエルサは、緊急記者会見を実施。そこで約70分間に渡って、集まった記者陣に対戦チームへの分析を披露した。

 まさに"講義"のような会見を開いたのには理由がある。それは今月11日に行なわれたダービー・カウンティ戦を前にビエルサが相手チームの練習グラウンドに分析官を派遣し、いわゆる敵情視察を行なっていたことが明るみになったからだった。

 ダービーが「練習場に不審な男がいる」として警察に通報をしたことで明るみになり、このリーズの"スパイ問題"はイングランド・サッカー協会(FA)も捜査に乗り出すなど、大きな波紋を広げた。だが、ビエルサは、「ある人たちにとっては間違っているだろうし、ある人たちにとっては間違ってない行為」と事実を認めたうえで、違法性がないことを訴えた。

 そして開かれたのが、16日の会見だった。そこでビエルサは、ダービーだけでなく自分たちの対戦相手となりうるチャンピオンシップ(英2部)とプレミアリーグの分析を徹底的に行なっていることを明らかにした。

 その内容は凄まじい。ビエルサはチャンピオンシップの全てのチームのトレーニングを偵察していることを明かし、さらに各チームのあらゆる戦術パターン、選手の組み合わせなどをパワーポイントで事細かく手の内を晒したのだ。そして、次のようにも訴えている。

「情報資料を作る20人の担当者がいる。しかし、その全てが必要なわけではない。それでも、作成するのはなぜか? それは、『十分に準備しなければ罪悪感を感じてしまう』からだ。私が言いたいのは、このリーグではもっと調査を簡単にしようということだ。私の目標はそれだ。他の人が欲しいものは与えるつもりだ。

 私は自分の行動が観察されていると考えている。対戦する前には全てのライバルを観察し、全てのトレーニングセッションを見る。ダービーは今シーズンに49.9パーセントの確率で4-3-3を用いている。試合中にどのように戦術を変えていくかも理解している。そうした情報が、この資料にある。各試合に4時間の作業が必要だ。なぜそんな手間暇をかけるのか? 私はそれがプロの仕事だと思うからだ」

 この会見の内容には驚いた関係者たちが多かったようだ。事の発端となったダービーの指揮官であるフランク・ランパードも、「あれはびっくりした。それは凄かったよ」と素直に告白していた。

 行き過ぎたスパイ行為はタブーだ。だが、そうした徹底した分析から試合への準備を進める飽くなき姿勢こそが、ビエルサが"エル・ロコ(奇才)"と呼ばれる所以であり、リーズが今シーズンのリーグ戦で首位をひた走っている理由だろう。
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