【選手権】「もっと有名になりたい」決勝のピッチに立った青森山田の“スーパー1年生”が漂わせる大器の予感

2019年01月15日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

全5試合に途中出場してインパクトを残す。

決勝では後半28分からピッチに立った藤原(17)。大会を通してクローザーとしてチームに貢献した。写真:金子拓弥

[高校選手権・決勝]青森山田3-1流経大柏/1月14日/埼玉

 優勝が決まった瞬間、青森山田の藤原優大(1年)は、控えめなガッツポーズをすると、ピッチ上に倒れ込んだ檀崎竜孔(3年)に駆け寄り、声を掛け、そして抱き合った。

 2-1と1点をリードして迎えた後半28分に出番はやって来た。黒田剛監督がこの日最初に切ったカードが、藤原だった。

「はじめは緊張しました。いつもなら、もっと周りが見えてるんですけど……。何度かボールに触れたらいつも通りのプレーが出来たんですが、最初からやれないとダメですね。まだまだです」

 本人はそう反省の弁を述べたものの、ピッチでの堂々たる振る舞いは弱冠16歳とは思えなかった。

 171人の部員がいる大所帯の青森山田において、ただひとり1年生でメンバー入り。初めての選手権で、それこそ衝撃的なインパクトを与えた。

 すべて途中出場ながら全5試合でピッチに。強豪・大津との3回戦で、ダメ押しの3点目を奪えば、準決勝の尚志戦ではPK戦で最後(5人目)のキッカーを務め、1年生らしからぬ度胸の良さでネットを揺らした。

「ベンチに入れない3年生もたくさんいます。その先輩たちが必死に応援してくれている。『俺が出たほうがいいじゃないか』と思わせては絶対にいけない。その責任を感じてピッチに立ちました」

 優勝した実感がまだ沸かないというスーパールーキーの目は、もう先を見据えている。

「今年は3年生が主体だったので、メンバー入りした1、2年生が少なかった。新チームでは、自分が引っ張るぐらいの気持ちでやりたいですね」

 この試合ではトップ下に入ったが、ボランチがもっとも得意なポジションで、CBでもプレーできる。一番の武器は、180センチの高さを活かしたヘディングだ。

「新チームではセンターバックをやると思います。今年のふたり(三國ケネディエブスと二階堂正哉)は凄かったので、追いつけるように頑張りたいですね。もっと有名になりたいし、家族や友達が自慢できるような選手になりたい」
 
 目標とするプレーヤーは「とくに思い当たらない」と言う。ただ、同じ青森県出身の柴崎岳(ヘタフェ)と同じ道を歩きたい、そんな思いを抱いている。つまりは、青森山田中→青森山田を経てプロになる道だ。

「青森に戻ったら、また雪中サッカーです。少し憂鬱ですけど」

 最後までひょうひょうと取材に応じた藤原。とんでもない大器になる、そんな雰囲気を感じさせる"特別な"1年生だ。

取材・文●江國森(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 
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