【釜本邦茂】見当たらない日本の軸。攻撃面では柴崎岳の奮起に期待したいが…

2019年01月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

後半はサッカーの質がガクッと落ちた

日本は前半こそチャンスを量産したが、後半はリスク管理を優先してチャンスらしいチャンスがなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 アジアカップのグループリーグ第2戦は、オマーンを相手に1-0の辛勝。日本は初戦に続き、苦しみみながらも連勝して、決勝トーナメント進出を決めた。

 まあ、勝つには勝ったけど、内容はまったく褒められるようなものではなかったね。前半にあれだけ多くのチャンスを作りながら1点止まり。2、3点取っていれば、早々に試合を決められていたようなものの、いくつもシュートを外して自分たちの首を絞めてしまった。

 後半は完全に相手にボールを支配され、押し込まれる場面もあったし、まったく攻めに厚みがなかった。前半の勢いがトーンダウンしてしまって、ボールを持っている選手へのサポートも少ないし、パスを出したらミスになって取られての繰り返し。後半はまったく何の印象も残らない内容だった。

 選手たちはもちろん一生懸命やっているのだろうけど、オマーン戦はそれがほとんど形になって出てこなかった。もちろん、前半に決め切れなかった部分も大きいが、何よりチームの芯になるもの、軸になる選手の存在が感じられないんだ。良いリズムで攻めていても、ちょっと圧力を掛けられて厳しく寄せられると、すぐにボールを奪われて逆襲を受けてしまうし、ディフェンスラインの組織がバラバラになってしまう場面も目についた。
 
 いったん崩れると、日本は立て直すまでに時間が掛かってしまう。それでも前半はまだ、みんなが何とかしようという意識でグループとして打開を図るシーンも見られていたけど、後半はそれも皆無。サッカーの質が著しくガクッと落ちた。オマーンはトルクメニスタンよりも個の力もカウンターの精度も上だったけど、相手がさらに得点力のあるチームだったら勝負の行方は分からなくなっていたところだよ。

 昨年はテストマッチで中南米の相手にできていたことが、アジア勢を相手にやれなくなっている。象徴的だったのは、積極的に仕掛けるというシーンが時間の経過とともになくなっていったこと。後半は膠着状態を打開する策がまるで見当たらなかったし、攻撃は単発的。森保ジャパンが築き上げてきたサッカーはそんなものだったのだろうか。
 

次ページ2試合を通じてボランチの存在感があまり感じられなかった

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事