新政権のサウサンプトンで存在感を高める吉田麻也は、いかに失地回復を果たしたか? 【現地発】

2019年01月06日 松澤浩三

2019年の初戦となったチェルシー戦で大活躍!

アザールやモラタといった世界でも指折りのアタッカーを擁するチェルシー攻撃陣の封殺に貢献した吉田。そのパフォーマンスは、英国メディアからも絶賛された。 (C) Getty Images

 新年最初の試合となった2日のチェルシー戦、3バックの中央に陣取ったサウサンプトンの吉田麻也は、強豪相手に圧巻のパフォーマンスを披露。エデン・アザールを擁する強力攻撃陣の零封に貢献した。

 横に並ぶヤン・ベドナレクとヤニク・ヴェステゴーと頻繁にコミュニケーションを図り、ラインの上下動を調節しながら守備を巧みに操舵。チェルシーのプレッシャーを跳ね返し続けつつ、必要に応じてタイミング良く飛び出してはインターセプトを繰り返した。

 終わってみれば、吉田はクリア11回とインターセプト8回を記録した。ちなみにインターセプトについては、英公共放送「BBC」のハイライト番組『マッチ・オブ・ザ・デー』でも、「今シーズンの最多回数だった」と取り上げられるほどに目立った。

 スタンフォード・ブリッジは試合後の選手取材の規制が厳しく、基本的に映像関係以外の媒体にはパスを出さない場合が多い。しかし、この夜はミックスゾーンに入り込むことに成功し、殊勲の活躍を見せた日本代表キャプテンに話を聞くことができた。

「大活躍だった」と声をかけると、吉田は「つまり、めちゃくちゃ攻められたってことだよね」と、苦笑しながらも嬉しそうに言った。

「守備に関しては、もちろん(満足している)。ゼロに抑えられたのは良かった。アジアカップに行く前に、チームに貢献しなくてはいけないと感じていたので、DFとして最低限のことはできたと思う」

 とはいえ、攻撃面でも効果的なフィードで好機を導き出す場面が数回見られた。例えば44分のプレーは、その象徴的なシーンだった。

 自陣でボールを受けた吉田は、すかさず右サイドへ展開。この好パスを受けたヤン・ヴァレリーのクロスは、惜しくも相手DFにブロックされたが、通っていれば確実に先制点に繋がっていた。

 このプレーぶりからも、吉田がいま、自身のプレーに自信を持っていることが窺える。

 昨年12月5日にラルフ・ハーゼンヒュットルが監督に就任して以来、直後のカーディフ戦ではスタメン落ちしたものの、以降は5戦中4戦で先発出場。出場機会のなかった12月30日のマンチェスター・シティ戦も、指揮官は、吉田を含めたレギュラー陣を温存したことを示唆していた。

 さらにチェルシー戦後には、アジアカップでチームを離れる吉田について、ハーゼンヒュットル監督は、こう述べている。

「イエス、(出場停止処分となっている)ピエール=エミル・ホイビェアと吉田麻也が1月末までいないのは厳しい。私にとっては、ベストプレーヤーの2人なんだ」

 この一言は、イングランド南部にやって来てから、まだ1か月足らずの新監督と吉田の間に、確固たる信頼関係が築き上げられていることが分かる言葉である。その結果、選手の自信は上昇し、プレーにも好影響をもたらしているのだ。

次ページ「(雰囲気は)悪いでしょ」とぼやいていた前体制からの変化とは?

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事