【選手権】快進撃の瀬戸内を支える陰の立役者・田辺利樹! 4強の相手は“大物”流経大柏も「緊張はないっす」

2019年01月05日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

「だから、『クリア』という概念はほとんどない」

「緊張しないタイプ」と自らを評する田辺(11番)は、ベスト4行きを懸けた一戦でも落ち着いたプレーを披露した。 写真:徳原隆元

[高校選手権・準々決勝]瀬戸内1-0日本航空/1月5日/フクアリ

 大会初出場ながら躍進を続けてきた瀬戸内が、ついに夢の埼玉スタジアムへ歩みを進めた。

 序盤から日本航空のマンツーマンディフェンスに苦しんだ瀬戸内は、動揺を誘われたせいもあり、夏から自信を深めてきた細かくつなぐサッカーを封じ込められてしまう。これには、安藤正晴監督も「徹底的なマンツーマンだったので想定外でした」と、驚きを持って振り返った。

 だが、ここで大崩れしないのは好調なチームの強みでもある。プレーの中できちんと修正を図り、マンツーマンの相手をつり出した背後にできたスペースをこじ開ける。そして、前半37分、右サイドを突破した川岸怜央の柔らかいクロスボールに飛び込んできた吉田寛太がヘディングで合わせて先制に成功。結局、これを最後まで守り抜いた。

 なんとか逃げ切った試合後、「点が入ってから余裕を持てるようになってつなげるようになった」と語ったのは、瀬戸内の2年生MF田辺利樹だ。4-3-3のアンカーとしてパスの供給役を担い、攻守のキーマンとなっている男は、「前半で相手が疲れていたので、後半は回せるかなって思ってました」と冷静に分析する。

「僕らは前へ長いボールを蹴るにしてもつなげと言われている。だから、『クリア』という概念はほとんどない。今日もそれはあんまりなかったです。確かにゴールキックからつなぎたいところで、つなげなかったりしたんですけど、焦りはなかったです。相手が前から来て、サイドやFWが空くと思ったのでそこを突けばいいと思ってました」

 次戦で待ち受ける相手は、今大会の優勝候補であり、鹿島アントラーズ入りが内定している関川郁万らを擁するタレント軍団・流通経済大柏だ。彼らの売りは、球際の強さと前線からのハイプレスにある。それだけに日本航空のフォアチェックに苦しんだ今日以上に苦戦を強いられる可能性も少なくない。

 しかし、田辺は「自分が中心となって攻撃していきたい」と、ニヤリと笑みを浮かべる。

「最終ラインにも顔を出して、逆サイドや縦パスを入れたり、なるべくテンポよくつないでいきたい。ある程度、縦に速い動きやカウンターにも付き合っていかないといけないかもしれないけど、奪ったらやっぱりショートパスでつなぐことを意識したい。吉田くんやキャプテン(佐々木)のところは空くと思うので、そこにつけたらチャンスは生まれると思います」

 まだ2年生ではあるが、ベスト4という大舞台にも、「自分は緊張とかはあんまないっす。楽しみですし、勝ちたいっすね(笑)」と気負いは見られない。

 瀬戸内の躍進を支える『陰の立役者』である田辺は、"大物"が待ち受ける準決勝でも、その献身的なプレーでチームに小さくない貢献をしてくれるはずだ。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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