【選手権】大躍進の秋田商、2年生DFの目に滲んだ涙「テレビでしか見たことがない相手」と対戦して思ったのは…

2019年01月05日 小林健志

「自分のせいで負けたので悔しい思いしかない」と失点に絡んだプレーを悔やむ

失点に絡んでしまった田近(18番)だが、鹿島に入団が内定している流経大柏の関川(写真右)とのマッチアップで感じたこともあったという。写真:徳原隆元

[高校選手権・準々決勝]秋田商0-1流経大柏/1月5日/フクアリ

 秋商旋風は惜しくも準々決勝で幕を閉じた。

 32大会ぶりのベスト8進出を果たした秋田商は前半6分、流経大柏にロングスローから押し込まれ失点し、その後は守り切られて0-1で敗れた。

 相手の試合巧者ぶりについて、秋田商の小林克監督はこう振り返った。
「ロングスローは流経さんのストロングポイントです。太陽がかなりまぶしかったので、流経さんはあちらのサイド(日陰側)を取ったのだと思います。立ち上がり絶対点を取ろうと相手は入ってきたのでしょう」

 秋田商の守備陣の目に強い日差しが入り、ミスが出ることも想定に入れた流経大柏の徹底した戦いぶりに驚いていた。そして流経大柏MF熊澤和希(3年)のロングスローからの失点シーン。FW岡本竜(3年)のシュートを秋田商DF田近奈生(2年)がブロックするも、クリアが小さくこぼれ球を拾ったMF八木滉史(2年)のゴールを許した。「まぶしくて大きく弾けなかったのだと思います」と、小林監督は田近のプレーを振り返る。

 試合後ロッカールームを出た田近の目には涙が滲んでいた。開口一番「自分のせいで負けたので悔しい思いしかないです」と失点に絡んだプレーを悔やんだ。「もっと大きくクリアしておけば良かったのですが、ポジショニングも悪くてクリアも小さくなりました。はっきりクリアできれば良い場面だったので、3年生に申し訳ありません。まぶしかったのはお互い様なので、言い訳できません」と自らのミスを認めていた。「これから1年間この悔しさを忘れずにプレーしないといけない」と、この悔しさを次へ活かそうとしていた。

「自分はミスを引きずるところがある」という田近だったが、それでも気持ちを立て直し、相手の猛攻に対して身体を張り続け、スーパープレーも見せた。後半24分、GK山口雄也(2年)がゴールを飛び出した場面で、流経大柏の岡本にボールを拾われ、無人のゴールにシュートが放たれたが、全力で戻った田近がクリアし、事なきを得た。

「何としてでも自分が取り返さないといけない。続けて失点はできない。ゴールを守らなければいけないという気持ちでやりました」(田近)と、必死に身体を張り続けたが、追いつくことはできなかった。
 

次ページ目指すのは「自分たちが威圧して相手FWに何もさせない守備」

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