【選手権】優勝候補の東福岡を下し、尚志が3回戦へ。勝利を引き寄せた”ポスト大迫”2年生FWの献身

2019年01月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

「尚志らしいサッカー」を支えた

染野(中央)は激しい競り合いにもひるまず、何度もつぶれては立ち上がり、ボールを収めるプレーで尚志の攻撃の起点となった。 写真:加藤澄人

[高校選手権・2回戦]東福岡 0-2 尚志/1月2日/浦和駒場

 尚志が1年越しのリベンジを果たした。仲村浩二監督が「東福岡さんに勝ちたくて、悔しさを持ってこの1年やってきた」というその決意は、大一番で実を結んだ。

 前回大会は初戦で0-3と完敗。拭いきれない悔しさは、敗北を直に体感した7人をはじめとした選手たち、そして監督の胸に刻まれていた。だが、先の敗戦があったからこそ、今回の勝利があったといえるだろう。

 強豪チームに対峙する尚志が導き出した今回のコンセプトは「普段の自分たちのプレッシングサッカー」(仲村監督)だった。

 試合開始直後から前線から積極的にプレスをかけ、ボールを保持した選手には常にふたり以上で対応した。"赤い彗星"東福岡が得意とするサイドチェンジ、GKからの早いカウンターはことごとく尚志が先手を取って自由にさせなかった。福岡の強豪に主導権を握られる時間帯もあったが、主将の大川健らを中心に、抜群の読みと粘り強い守備で対応した。

 前半31分、流れがやや東福岡に傾きかけた際のカウンターだった。味方からのクリアボールを、東福岡DFに競り勝った染野唯月がゴール前まで運びシュートを放つ。GK松田亮に弾かれたが、こぼれた先には長距離を走り上がった6番、MF坂下健将がいた。

 「カウンターのときは上がることを意識している」という坂下がダイレクトで放ったシュートはゴールネットに突き刺さり、尚志が先制に成功する。

 勢いにのった尚志は、1点を守るのではなく、2点目を取りにいく姿勢で東福岡を翻弄した。その攻撃の中心にいたのは、2年生FWの染野だ。「先輩たちの想いを無駄にできないと感じた」という気持ちで後半40分過ぎにピッチを退くまで、東福岡の守備陣と競り合い続け、献身的なプレーでチームに貢献した。U-17日本代表の仲間であり、ライバルである東福岡CB丸山海大との対峙にも「負けたくないと思った」と燃えた。

「日本代表の大迫(勇也)選手みたいな長身で収められる、それでチームを助けられるプレーヤーを見ていて、自分がそういう風になりたいという気持ちはある」

 1回戦に勝利した後にそう語った染野のプレーは確かに、屈強なDFを相手にしてもボールを保持し、味方につなぐ大迫の姿が重なる場面が多かった。

 尚志の頑張りが再び実を結んだのは後半35分だった。交代で入った尚志の"切り込み隊長"伊藤綾汰が、右サイドからゴール前に入れたボールがDFに弾かれる。こぼれた先に詰めていた高橋海大が、左ポストに弾かれてゴールインする豪快なシュートを決め、優勝候補を突き放した。

 試合は監督が「でき過ぎた」と言わしめるほどの内容で尚志が勝利。染野は「今日の出来は勝てたことも含めて、次に繋がるいい試合ができたと思う」と自信を覗かせた。1月3日に行なわれる3回戦の相手は前大会王者、前橋育英だ。
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