【選手権】3点に絡む活躍で快勝に貢献!立正大淞南の俊英FWが受け継ぐ「エースの宿命」と「伝統のレガース」

2019年01月02日 森田将義

前半は点取り屋として、後半はチャンスメイクで奮闘

点も取れてアシストもできる藤井は、総合力の高いFWだ。写真:滝川敏之

[高校選手権・1回戦]岐阜工0-4立正大淞南/12月31日/等々力
 
 立正大淞南のエースFW藤井奨也(3年)が2ゴール・1アシストの活躍を見せ、チームを快勝に導いた。
 
 本来は2トップの一角に入る選手が、この日は相手の右サイドに圧力をかけるために、左サイドでプレー。「相手が嫌な動きをサイドから続けるのを意識していた」との言葉通り、マークの緩い左サイドから中央への侵入を積極的に繰り返し、相手DFの混乱を誘った。最初に見せ場が訪れたのは前半9分。MF石橋克之(3年)のパスを受けたFW鶴野怜樹(3年)がゴール前で倒されると、こぼれ球を落ち着いて押し込み、先制に成功した。前半終了間際の39分には味方とのショートパスの交換から抜け出したところを相手に倒され、PKを獲得。自らが落ち着いて、決めて3点リードで試合を折り返した。
 
 前半は点取り屋としての仕事を全うしたが、後半からはチャンスメークでもチームに貢献する。後半8分には左サイドでボールを持つと、中央へのパスを選択。受けた鶴野がファーストタッチでDFの裏に出ると、ゴールの隅にシュートを突き刺し、試合の行方を決定づけた。いずれの得点も、日頃の練習や試合で徹底する形で、藤井は「淞南の持ち味である3人でのシュートや中央突破が良い形で出来たと思う」と胸を張った。
 
 藤井にはFW松田力(アビスパ福岡)ら歴代のエースが背負ってきた17番とともに受け継いできた物がある。それはレガースを脛だけでなく、ふくらはぎにも装着する他チームではあまり見かけないスタイルだ。いくら怪我の防止を頑張っていても、試合中には予期せぬ接触が起きる。特に後ろ向きでボールに触れる場面が多い前線の選手は、視野の外からボールを奪いに来る選手の足が当たり、怪我をするケースが少なくない。「レベルが上がれば上がるほど、激しい接触が増える。防具だけで怪我を防げるなら、御の字。怪我のリスクが減るから、恐れずに飛び込める」という南健司監督の考えによって、古くからFWの選手は両足の前後にレガースをしているという。
 
 藤井も2年生の夏から今のスタイルを取り入れた。最初は「夏だったので、暑くて違和感があって、嫌だったけど、前後にしていると怪我にならない」と時間の経過とともに馴染んでいった。ソックスの中でずれないように、踝の位置にテーピングを何重にも巻くが、プレー面でのマイナスの影響は一切ないという。この日も、後ろから相手の足が当たる場面があったが、怪我をせずに済んだように他とは違う淞南流のレガースの活用法は、他チームのFWも参考にすべきスタイルかもしれない。
 
取材・文●森田将義(フリーライター)
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