「PKを止めて、決めた!」那覇西を5年ぶりの初戦突破に導いたのは、GK歴3年目の2年生守護神!

2018年12月30日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

PKの11本目で攻守に輝いた新垣がGKを始めるきっかけとなったのは…

PK戦で強烈な一撃を突き刺した新垣。中学時代は中盤の底でプレーしており、キックには自信があったという。写真:徳原隆元

 那覇西に勝利をもたらしたのは、"PKを止めて、決めた"2年生守護神だ。
 
 12月30日に行なわれた高校サッカー選手権のオープニングマッチ。2年ぶりの出場となった那覇西は、地元の声援を一手に受ける駒澤大高と相まみえた。
 
 実力伯仲の好ゲームとなった一戦は1-1で80分を終了。勝負はPK戦に委ねられた。駒沢陸上競技場が一気にピンと張りつめた空気に包まれるなか、存在感を放ったのが那覇西のGK新垣凱斗(2年)だ。1本目は相手のキックミスにより×マークをスコアボードに刻んだが、10本目までまるでボールに触れなかった。
  
 そうした状況で迎えた先行の駒澤大高の11本目。チームの全選手にキッカーの役割が回って来る異例の事態のなかで、新垣は一切の緊張をしていなかった。表情は柔らかく、笑顔を見せるほどで、むしろ、楽しんでいた。
 
 運命の瞬間。相手GKの宮崎雅崇(3年)がど真ん中に蹴ったシュートに対し、左に飛んでしまうが、残った左足に当ててここ一番でビックセーブを見せたのだ。ただ、仕事はこれで終わりではない。9対9で迎える後攻の11本目のキッカーは自分。決めれば天国、外せば振り出しに戻る。プレッシャーが懸かるなか、新垣は豪快にシュートを右足で突き刺し、沖縄県勢5年ぶりの初戦突破をもたらした。
 
 試合後、新垣に話を聞くと、開幕戦の雰囲気は自身のパフォーマンスを高めるきっかけになったという。「観客がいる方が自分のテンションが上がる。結構楽しんでやれました」とし、PK戦の場面でも「(相手が決めれば)次もGKができるという楽しみがあったし、自分が止めればヒーローだと思っていました」とポジティブな思考で戦っていたという。
 
 今でこそ最終ラインで信頼を得ている新垣だが、GKを本格的に始めてから日が浅い。中学2年生に県選抜のコーチをやっていた父から声出しの良さとサイズを見込まれて、ポジションを最後尾に変えた。その時はチーム事情もあって1年で挑戦を終えたが、高校入学後に本格的にGKへチャレンジ。最初はハードなトレーニングについていけず、「GK練習がこんなに激しいとは思っていなかった。1年生の時は大変だったけど、2年生になって慣れてきた」というほど苦戦したが、来季からJ2参戦する琉球が主催するGKスクールなどに通い、自らの技を確実に伸ばしてきた。平安山良太監督からも「彼は努力家」と太鼓判を押され、その地道な積み重ねで1年生の頃から出場機会を掴んだ。
 
 誰よりもサッカーを楽しみ、大舞台で躍動した新垣。GK再転向2年目で掴んだ結果は自信となる。県勢最高の8強、そして4強入りを果たすためにも、伸びシロ十分の守護神が2回戦も那覇西のゴールを笑顔で守る。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)

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