伝統のダービーでレンジャーズが宿敵に9年ぶりの勝利! “新米監督”ジェラードはいかに名門を蘇らせたのか?

2018年12月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

「『かかってこいや!』って姿勢が僕らしい」という言葉通りに…

試合後、奮闘を続けた選手たちを笑顔で迎え入れたジェラード。リバプールという超名門で磨かれたカリスマ性は、いまだ健在だ。 (C) Getty Images

 長年苦しみ続けてきた名門が、"伝統の一戦"で久しぶりの勝利を手にした。

 現地時間12月29日に行なわれたスコティッシュ・プレミアリーグ第21節で、レンジャーズは、宿敵セルティックと本拠地アイブロックス・スタジアムで対戦。押し込まれる時間帯もあるなかで、30分にライアン・ジャックが挙げた虎の子の1点を守り抜き、1-0で勝利した。

 グラスゴーに拠点を構える両者の対決は、「オールドファーム」と呼ばれ、カトリックのセルティックとプロテスタントのレンジャーズという宗教的対立によって街が二分される、世界でも屈指の熱狂度を誇る一戦として知られている。

 そんな伝統の一戦でレンジャーズは、長きに渡ってライバルの後塵を拝してきた。2011-12シーズン中に財政難からクラブが破産して4部降格となり、トップリーグに復帰した2015年以降も力の差をなかなか埋めることはできなかった。しかし今回の勝利で、国内リーグでは約9年ぶりに、セルティックに土をつけたのである。

 レンジャーズに会心の勝利をもたらしたのは、"新米監督"スティーブン・ジェラードの影響によるところが大きい。

 今シーズン開幕前に監督就任を果たした元イングランド代表MFは、「『かかってこいや!』って姿勢が僕らしい」という言葉通りに、リバプール時代に培ったカリスマ性とキャプテンシー、そして類まれな戦術眼を用いて、自信を失いかけていた名門をかつてのような"闘う"チームへと変貌させた。

 奇しくも、かつてリバプールで薫陶を受けた恩師であるブレンダン・ロジャースの率いるセルティックを撃破したジェラードは試合後、英衛星放送「Sky Sports」のインタビューでこう語った。

「選手たちは至るところで傑出していた。僕は彼らに、『A評価に値するサッカーをしてほしい』と頼んだが、その通りの内容だったね。本当に素晴らしかった。勇気と信念を持ってプレーできていたし、何よりも勇敢で、あらゆる場面で競争に負けなかった。ファンには、この瞬間を誇る権利がある。彼らは本当に多くのことを味わってきたからね」

 止まっていた歯車を再び動かすことに成功したジェラードのレンジャーズは、得失点差では下回るも、首位セルティックと同勝点(42)に並んだ。果たして、彼らはこの勢いを持続させ、3連覇を成し遂げた2010-11シーズン以来となる8年ぶりのリーグ制覇を成し遂げられるだろうか?
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