「試合をやめてもよかった!」ナポリCBが差別チャントの被害も退場に…アンチェロッティが怒りの訴え

2018年12月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

「一体いつになったらやめられる?」と怒った百戦錬磨の指揮官

相手サポーターからの差別を受けたことを審判に伝えるも、クリバリ(右)はそれをくみ取ってもらえずに退場となってしまった。 (C) Getty Images

 セリエAで起きた"事件"は、今後、大きな波紋を広げそうだ。

 現地時間12月26日にジュゼッペ・メアッツァで行なわれたセリエA第18節のインテルとナポリの一戦は、1-0で前者が勝利した。その激闘の後、ナポリの指揮官カルロ・アンチェロッティは嘆きにも似た怒りの声を上げた。

「スタジアムは奇妙な雰囲気だった。私たちは3度にわたって試合の中止を求めた。クリバリは確かに敏感になっていて、最高の心理状態ではなかった。普段の彼はとても穏やかでプロ意識の高い選手だが、彼は試合を通して"モンキーノイズ"の標的となっていた」

 80分のことだった。ナポリCBのカリドゥ・クリバリは、イエローカードを提示された際、拍手をするアクションを取り、これが主審への挑発的な行為とみなされ、2度目の警告を受けて退場処分となっていた。

 アンチェロッティは、クリバリがこの行為に及んだ理由が、インテルの一部サポーターからモンキーチャントを受けていたからだと断言したのだ。さらに百戦錬磨の智将は、「次はこちらから試合をやめる」とも続けている。

「『試合は中断できる』と言われているはずだが、一体それはいつなんだ? 4回目のアナウンスの後か、それとも5回目のアナウンスの後か? もしも、試合をやめたら、それは『敗戦』と判断されるだろう。だが、我々はそれをする準備ができている。こんなことが起こるのはイタリア・サッカーにとって良くないことだ。今日起きたことを見てくれ」

 近年のイタリア・サッカーでは、人種差別問題が相次いでいる。昨年5月には、ペスカーラの元ガーナ代表MFサリー・ムンタリが、モンキーチャントの被害を審判団に訴えたが受け入れられなかったことに加え、イエローカードを出されたことを受けて、許可を得ずにピッチを去って試合を"放棄"することも起きていた。

 絶えることのない人種差別問題をイタリア・メディアも重く受け止めている。地元紙『La Stanpa』は、「これ以上は我慢できない。手遅れになる前に、何か行動を起こす時が来た」と警鐘を鳴らした。

 今夏にクリスチアーノ・ロナウドがユベントスに加入して華やかさが増したセリエAだが、根深い問題である差別との戦いを早急に解決しなければ、その未来は暗いままだ。
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