「タクが四中工で得点王を獲った頃からはより一層…」日本代表の兄に抱き続けた弟・浅野雄也の強烈な想い

2018年12月20日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

インカレ準決勝、駒澤大戦で浅野は精度の高いキックでチャンスを演出

大阪体育大の左サイドを担った浅野。来年は水戸でプロサッカー選手としての第一歩を踏み出す。写真:徳原隆元

[全日本大学選手権準決勝]駒澤大2-1大阪体育大/12月19日/NACK5
 
「比べられるのは嫌じゃない。比べられることで僕自身、刺激にもなるので」
 
 日本を代表するアタッカーで、ブンデスリーガのハノーファーで活躍する兄を持つ。周りは自然に「○○の弟」という見方をするだろう。それでも別に構わない。ただし、比較する声に「絶対に負けたくない」との想いは、小学生の頃からずっと抱き続けてきた。
 
 大阪体育大の7番を背負う浅野雄也は、スピードに自信を持つ左利きのサイドアタッカーだ。兄の拓磨もスピードを武器に日本代表まで上り詰めた。
 
 もちろんスピードだけではない。準決勝の駒澤大戦。持ち前の精度の高い左足のプレースキックは、何度も際どい場面を生み出し、機転の利いたポジショニングで味方の攻撃を促すクレバーさもある。
「足もとの技術であったり、ボールを運ぶ技術や止める、蹴るといった技術も自分の中では武器のひとつだと思っています。でも、もっともっと磨かなあかんなと」
 
 混戦では簡単に倒されない身体の強さも見せたが、これには4年間の成長を実感するところもあるようだ。
「高校の時はずっとスピードを武器にして相手の背後を狙うプレーが多かったんですが、やっぱり背負うこととか、力強さも大学に来てついてきた。"体育大学"なんで、そういう部分を身に付けることでプレーの幅も広がったかなと思います」
 
 来春にはJ2の水戸ホーリーホックでプロサッカー選手としての第一歩を踏み出す。プロ選手として何を自分のセールスポイントとしていきたいかと問えば、やはり「スピードとドリブルのキレ」だと言う。
「そこで勝負していきたいし、絶対に負けたくないなと思ってます」
 
 左サイドを担った駒澤大戦では、相手の守備陣に背後のスペースをケアされ、なかなかスピードに乗ったドリブル突破を披露することはできなかった。
「自分の持ち味がうまく発揮できなくて、ちょっと悔いが残る感じがしますね」
 
 大学生活最後の大会。本領発揮とはいかなかった自分に悔しさが残る。

【大学サッカー準決勝PHOTO】大阪体育大1-2|駒澤大が12年ぶりの決勝進出、7度目の大学王座に王手!
 

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