「すべてを盗もうと思った」南野拓実、キャリアの礎となった“偉人”フォルランからの影響を語る

2018年12月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

独メディアの特集で苦労も語られる。

ザルツブルク在籍5年で4度のリーグ優勝と3度の国内カップ優勝を経験した南野。 (C) Getty Images

 オーストリアで奮闘を続ける日本サッカー界期待の若きサムライが、現地で声価を高めている。

 現地12月13日に行なわれたヨーロッパリーグ(EL)のグループステージ最終節、セルティックと対戦したザルツブルクの南野拓実は、この試合で先発出場を飾り、2-1の勝利に貢献。チームはグループBの首位で決勝トーナメント進出を決めた。

 いまや強豪ザルツブルクの主力のひとりとなった南野は、日増しに存在感を高めている。

 11月は、ELグループステージ第4節のローゼンボリ戦(5-2)で、同大会では日本人史上初となるハットトリックを達成するなど、公式戦4試合で4ゴール・2アシストとポテンシャルの高さをいかんなく発揮。見事にクラブ選出の「月間最優秀選手」に輝いた。

 さらに今月に入ってからも、2日のオーストリア・ブンデスリーガ第16節ラインドルフ・アルタッハ戦(1-0)で、味方からのロングボールをダイレクトで合わせる超絶ボレーを決めて、大きな話題をさらうなど、いまだ好調ぶりに陰りは見られない。

 そんな南野をドイツのスポーツ専門メディア『Spox』が、「タクミ・ミナミノ:日本の"ブル"スター」と見出しを打って特集した。

 2015年1月にセレッソ大阪から鳴り物入りで加入した南野について、同メディアは、「彼は近年のザルツブルクで重要なパフォーマーとなった。まだ23歳だが、クラブではすでにベテランの一人で、所属歴はチーム4位だ」と褒めちぎっている。

 ザルツブルク在籍5年目の南野は、12年目の大ベテランであるオーストリア代表MFのクリストフ・ライトゲプと、チームの主将で10年目のオーストリア代表DFアンドレアス・ウルマー、そして、9年目のドイツ人守護神アレクサンダー・ヴァルケに次ぐ、在籍年数を誇っているのだ。

 いわば、チームの顔ともいえる存在になりつつある南野。特集では、本人のコメントも紹介されており、そこで日本の俊英は、「ザルツブルクにやってきて、1年目はとても難しいシーズンだった」と語り、苦労が絶えなかった欧州元年を回想した。

「言葉の問題が大きかった。だけど、チームメイトや通訳のサポートもあって、なんとか順応することができた」

 今や日本代表でも欠かせない点取り屋となった南野だが、今回の『Spox』の特集内では、セレッソ大阪時代にチームメイトだった元ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランの名前を挙げている。

「彼は偉大な選手だった。その行動すべてが模範的であり、プロフェッショナルの鑑とも言える存在だった。もちろんピッチ上での働きもね。僕は本当によく観察し、すべてを盗んで、学ぼうと思ったよ」

 2010年の南アフリカ・ワールドカップの得点王と大会最優秀選手賞をダブル受賞した偉人からの刺激が、今の活躍の礎となっていることを明かした23歳のストライカーは、「どんな状況だろうと勝ち続けたい」と、これらから先の戦いに向けて意気込んだ。

 今月12日に発表された来年1月に開かれるアジアカップの代表メンバーにも選ばれた南野。森保ジャパンで主役級の輝きを放つ新世代"三銃士"の一角を担う男の活躍から目が離せない。
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