「レッド撤回は間違いだった」 えっ、VARで誤審が? 堂安律に対する危険タックルの判定が赤から黄に覆り、議論が紛糾!

2018年12月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

堂安への激しいタックルは「明らかなレッド」

チームの中心選手と認識されているからこそ、厳しいマークに遭うのは致し方ないが…。 明らかに危険なタックルだったため、イエローに覆った判定には監督・スタッフからも猛抗議が。 (C) Getty Images

 オランダ・エールディビジ第14節、フローニンヘンはかつて吉田麻也、本田圭佑、大津祐樹などが在籍したVVVのホームに乗り込み、0-0のスコアレスドローに終わった。

 フローニンヘンに所属する堂安律は、定位置の右サイドハーフで先発出場。フルタイム出場を果たしたが、彼が受けた危険なタックルに対する判定が、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によってレッドからイエローに覆ったことについて、オランダ国内で論争が巻き起こっている。

 問題のプレーは、41分に起きた。味方からのパスを受け、サイドラインぎりぎりでDFをかわし、右サイドを駆け上がろうとする堂安に対し、VVVの背番号3、ジェロルド・プロメスが身体ごと突っ込むタックルで止めた。弾き飛ばされた堂安はピッチサイドの外に投げ出され、2、3回転してしまうほどの激しさだった。

 フローニンヘンのキーマンである堂安には、序盤から激しいチェックが入っていた。堂安がファウルで転がされたのも2、3度ではない。そんななかでの激しいタックルに、主審は一発退場を意味するレッドカードを提示した。しかしその後のVAR判定によって、イエローカードに訂正されている。

 タックルを受けた堂安本人やフローニンヘンの選手も、カードの色が変わった判定には怪訝な表情を浮かべ、主将を務めたサミル・メシェビッチは主審に抗議し、納得していない様子だった。試合後にフローニンヘンのダニー・バイス監督は「審判の傲慢だ」と批判の声を上げている。

 地元紙『Algemeen Dagblad』は「あのファウルにはレッドがふさわしい。イエローに色を変えたのは明らかな間違いだ。審判がVARで実証可能な"間違い"を犯した場合の対処法はあるのか?」と評し、オランダのエールディビジで審判員の代表を務めているディック・ヴァン・エドモンド氏のコメントを紹介している。

「(主審を務めた)セーダー・ゴスビュゥイキが試合後にカメラの前に登場しなかった? それは恥ずべき事だ。彼は皆にあの決定について納得してもらえるように説明するべきだった。こうした熱戦において、審判の決断は非常に重要であることを理解しなければ。ただ、VARシステムはまだ未熟で、これらを完璧に判断するには経験が足りないことも事実だ」

 また、翌日にオランダ・メディア『VOETBAL INTERNATIONAL』の取材に答えたゴスビュゥイキ氏は「あの決断を悔いている」とコメントした。

「最初に見たとき、レッドカードであると確信を持った。だが、そうこうしているうちに『本当にレッドなのか?』という疑念が沸き上がってきた。これはVARシステムを使用するにあたって我々が想定せず、望んでいない一面を露呈してしまった。この出来事から学ぶことが大きい」

 幸い堂安に大きなケガはなく済んだものの、こうした明らかな誤審を避けるためにVARが導入されたのではないのか、とオランダ国内では議論が紛糾している。

 エールディビジの審判団は、今回の件について検証を進めるとされているが、世界的にVARを採用するリーグが増えているからこそ、今後もどのように審判がVARシステムを活用すべきなのかという議論は続きそうだ。

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