南米王者決定戦のスペイン開催に、D・アウベスは「最大の恥!」 マドリー監督も複雑な心境を吐露

2018年12月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

「一部のならず者たちのために…」

リーベルはソラーリ監督の古巣でもあるだけに、今回の不祥事には胸を痛めているはずだ。(C)Getty Images

 南米王者を決める大会が海外、それも遠く欧州の地で開催されることになった反響は小さくない。

 リーベル・プレートとボカ・ジュニオルスによるコパ・リベルタドーレス決勝は、ボカのホームで行なわれた第1レグを2-2のドローで終え、11月24日の第2レグで勝負が決まるはずだった。

 だが、リーベルの本拠地エスタディオ・モヌメンタルでの一戦を前に、リーベルの一部ファンがボカのチームバスを襲撃する事件が起きてしまう。

 ボカの選手たちに負傷が出る事態となり、試合は延期。不戦勝を求めたボカの訴えを退けた南米サッカー連盟は、12月9日にレアル・マドリーが本拠とするスペインのサンティアゴ・ベルナベウで第2レグを開催すると発表した。

 この決定は議論を呼んだ。南米大陸の雄を決する一戦がヨーロッパの地で行なわれるのだから当然だ。ボカとリーベルによる「スーペル・クラシコ決勝」を楽しみにしていた人たちが、試合を観るために遠く海を渡らなければいけなくなったことを考えればなおさらだろう。
 
 関係者からも連盟の決定を批判する声が上がっている。パリ・サンジェルマンに所属するダニエウ・アウベスは、自身のインスタグラムで「最大の恥」と激しく非難した。(スペイン紙『AS』より)

「関係ないすべての人たちが、一部のならず者たちのために金を払う必要はない。彼らは決勝でボカ対リーベルを見られるチャンスがあったのに、欧州に場所が移されたために見られなくなる」

「南米出身のサッカー選手として、そしてサッカーと健全なライバル精神を愛するファンとして、自分の意見を表明する権利と義務があると感じた。サッカーのため、そして関係のない人たちへのリスペクトとして、(スペイン開催が)実現しないように願う」

 マドリーのサンチャゴ・ソラーリ監督は、「相反する感情がある」と複雑な心境を明かした。

 ソラーリ監督は祖国の名門同士の対決が、自身が指揮を執るクラブのホームスタジアムで行われることは「名誉だ」とし、「歴史あるスタジアムが難しくなった決勝をうまく終える助けになることを願う」と述べている。

 そのうえで、マドリーの指揮官は、「そうなった原因について、なぜブエノスアイレスではなく国外で試合をしなければいけなくなったかを考えなくてはいけない」と、母国でのトラブルを嘆いた。

「多くの人の心を痛めた。残念だよ。なにより、子どもたちへの手本として残念だ。我々の社会の、ほんの小さな一部分がすべてを台無しにした」

「残念ながら、私にとってこの試合は重要性を失った。少し興味がなくなった」とも述べたソラーリ監督が言うように、多くの人が悲しむことになってしまったコパ・リベルタドーレス決勝。

 サンティアゴ・ベルナベウでの一戦は、人々の心を少しは晴らしてくれる一戦となるだろうか。
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