【C大阪】“花咲かじいさん”ユン・ジョンファン監督が桜軍団に植え付けたもの

2018年11月25日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「結果にこだわることがセレッソには足りない部分だった」(水沼)

今季限りでの退任が決まっているユン・ジョンファン監督。個性派集団をまとめ、躍進に導いた手腕は素晴らしかった。写真:川本学

[J1リーグ33節]C大阪0-3柏/11月24日/ヤンマースタジアム長居
 
 ユン・ジョンファン監督の教えは、セレッソ大阪に根付いていくだろうか。
 
 3年ぶりにJ1に復帰した昨季、C大阪はユン・ジョンファン新監督の下、ルヴァンカップと天皇杯のカップ2冠を獲得し、リーグ戦でも3位と躍進。統率のとれた堅守速攻と巧みなターンオーバーを武器に旋風を巻き起こした。
 
 4冠(リーグ、ルヴァンカップ、天皇杯、ACL)の可能性もあった今季は、堅実な補強を行ない、速攻だけでなくポゼッションスタイルにも挑戦する。しかし、過密スケジュールに苦しみ、清武弘嗣など故障者が続出したのは誤算だった。スムーズに戦術が浸透せず、むしろ、どっちつかずな中途半端なスタイルで戦っていた感は否めない。
 
 とりわけ物足りなかったのは攻撃面。杉本健勇と柿谷曜一朗の2トップが不調(32節終了時点で杉本が5得点、柿谷が4得点)だったこともあり、なかなか勝ち切れない試合が続いた。
 
 昨季の目覚ましい成果により、周囲からの指揮官への期待は間違いなく跳ね上がっていたはずだ。それと比例するように当然"ハードル"も高くなっていた。10月初め頃から一部で解任が噂され始めると、今季無冠が決まった後、11月19日に、今季限りでの退任が発表された。
 
 それでも、就任から2年間でユン・ジョンファン監督が植え付けたものは、大きい。今季キャプテンを務める山口蛍は言う。
 
「勝ちに対しての執念というか、昨季は攻撃的な選手が多い中でも守備をしないといけないというところを植えつけてくれた。チームとしても我慢強く戦うことができた試合もいっぱいあったので。そういう粘り強く戦うところはユンさんから教えてもらった」
 
 そうした想いを口にするのは、ひとりではない。この韓国人指揮官と同じく昨季からC大阪の一員となった水沼宏太は語る。
 
「ユンさんがこだわっていたのは、『とにかく勝つ』こと。結果へのこだわりがセレッソには足りない部分だと、僕が来た時にも思った。それをユンさんは変えたいという気持ちだったと思う」

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