「俺を壊せるのは俺だけだった…」イブラヒモビッチがキャリア初の大怪我を“らしさ”全開で振り返る

2018年11月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

「こんなズラタンを見せるわけにはいかない」と指揮官に意見も。

19年にも及ぶキャリアで最大の怪我を、晩年に負うこととなったイブラヒモビッチは、その当時、何を思っていたのだろうか? (C) Getty Images

 転んでも、ただでは起き上がらない。そこにこそ、"サッカー界の神"を自称するだけの確固たる信念があるのかもしれない。

 今年3月、マンチェスター・ユナイテッドからアメリカMLSのLAギャラクシーに活躍の場を移した元スウェーデン代表FWのズラタン・イブラヒモビッチ。全世界を騒がせたその決断の主因ともなったのが、昨年4月に負ったキャリア初といっても過言ではない大怪我だった。

 4月20日にオールド・トラフォードで行なわれたヨーロッパリーグ準々決勝・第2レグのアンデルレヒト戦、当時ユナイテッドの絶対的なエースとして君臨していたイブラヒモビッチは先発出場を飾るも、後半に相手と競り合って着地した際に右膝の前十字靭帯を断裂し、長期離脱を余儀なくされた。

 その後、37歳とは思えない驚異的な回復を見せ、7か月で戦線に復帰したイブラヒモビッチは、ユナイテッド・ファンのみならず、世界中のサッカー・ファンから賛辞を贈られるなか、LAギャラクシーへの移籍を決めたのである。

 そのキャリアを脅かした大怪我についてイブラヒモビッチは、この度、英公共放送「BBC」のインタビューで、「それまで、いわゆる重傷ってものを経験したことがなかったから、怪我をした時は、何が起こったのかわからなかった」と振り返り、"らしく"当時の心情を告白した。

「それまでの俺は、スーパーマンのようなものだったから、壊れることがなかったんだ。俺を傷つけられる者などいなかった。ズラタンだけが、ズラタンを傷つけられたんだよ。

 そして、周りのヤツらに言った。『こんな形で終わりたくはない。足を引きずりながら、アイツは終わったと言われながらなんて終われない。俺は歩むと決めた道を進む』ってね。

 新しいチャレンジだった。そして準備ができた時、俺は戻った。その後は、これまでと同じようなプレーができたよ。それができなくなった時には、サッカーを辞めるさ。慈善活動のためにやっているわけではないからな」

 またイブラヒモビッチは、リハビリ期間中に「とても強く、精神的にもタフな男の手の中にこそ、未来はある」と発破をかけてくれていたユナイテッドの指揮官ジョゼ・モウリーニョにも、力強く復活を誓っていたことを明かしている。

「まだ、怪我が癒えていない状態でメンバーに選出された時に、俺はモウリーニョ監督に言ったよ。『俺は、あなたも、仲間も、失望させたくない。今はまだ、怪我をしたズラタンがいる。これまでのようなズラタンはいない。そんなズラタンを見せるわけにはいかない。準備ができていない』とね。

 ユナイテッドでの2年目は、本当に準備ができていなかったし、全く違った感じだったよ。ゼロからのスタートだったし、俺の膝にサッカーを教えなければならなかった」

 そんな大怪我も癒え、「快適さを求めていた」というイブラヒモビッチは、アメリカに渡ってMLSで躍動。27試合で22ゴール・7アシストと次元の違いを見せつけ、いまや古巣ミランへの電撃復帰が濃厚視されるまでにコンディションを回復させている。

 40歳を目前にし、いまだ力が衰えぬことを証明しているイブラヒモビッチ。その存在感は、やはり異質だ。

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