世界の54%が試合中に人種差別を目撃! 「FIFAなど運営組織がもっと努力しない限り進歩はない」

2018年11月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

差別目撃者の数が多かったのはペルーとコスタリカ。

反人種差別団体の『KICK IT OUT』は、人種差別を通報する方法をもっと促進させるべきだと訴える。(C)Getty Images

 人種差別の問題は根深い。サッカー界においても、それは同じだ。人種差別を巡るトラブルや問題は後を絶たない。

 反人種差別団体『Kick It Out』とライブスコアアプリ『Forza Football』の調査によると、サッカーの試合を観戦した人の半数以上が、人種差別を目撃したことがあるという。英衛星放送『Sky Sports』が伝えた。

 38か国の2万7000人を対象とした調査によれば、世界の54%の人が、「サッカーの試合中に差別を目撃した」と回答している。最多はペルーとコスタリカの77%。逆にもっとも少なかったのは、ロシア(41%)やオランダ(38%)だった。

 差別を試合中に目撃した54%の人の中で、いかに適切に通報すべきかを分かっていたのは、わずか28%にとどまる。例えば、イギリスでは50.1%のファンが試合中に差別を目にしていたが、通報の仕方を知るのはそのうちの40%だけだった。

 調査によれば、世界の60%は、ファンが人種差別をした場合、代表・クラブを問わず、勝点減点の処分を科すことに賛成。国際大会で表彰する際に、FIFAが以前の人種差別問題を考慮すべきという声は74%にのぼる。差別に対する厳しい処分を望んでいることが分かる。
 
 英国では92%のファンが、異なる民族・人種を背景に持つ選手が国やクラブを代表することに違和感を覚えないとしている。だが、直近で民族問題を巡る騒動があったドイツやスイスでは、よく思わないとする回答が23%にのぼった。

『Kick It Out』の幹部は、「サッカーにおける人種差別との取り組みの中で成し遂げてきた進歩と、いまだに残る挑戦との双方を思い起こさせる調査結果だ」と述べている。

「グローバルなトレンドとして、マイノリティーのコミュニティーがサッカーにおける中心的役割を担うことを受け入れるようになってきているのは明らか。だが、あらゆるレベルで人種差別を根絶させるために、運営組織がもっと大胆に努力しない限り、さらなる進歩はないだろう」

「各国サッカー協会やUEFA、FIFAを含めた運営組織は、もっと人種差別を通報する方法を促進させようとすべきであり、サポーターの要望に耳を貸さなければいけない。クラブだろうが代表だろうが、サポーターが人種差別をすれば、減点を含めたより厳しい処分を科すべきという要望に」

 これまでも多くの選手が被害を訴えてきた。一刻も早く、差別が根絶させれることを願うばかりだ。
 
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