杉本よ、奮起せよ――キルギス戦ノーゴールも、このストライカーに期待したい理由

2018年11月21日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

これだけの資質を備える日本人ストライカーは極めて稀

2本のヘディングシュートはGKの正面に。杉本は先発起用に応えられたとは言えないが、今後の奮起を期待したい。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2018]日本 4-0 キルギス/11月20日/豊田スタジアム
 
 杉本健勇は試合後、ショックを隠し切れない様子だった。
 
 無理もないだろう。今年3月のウクライナ戦以来の先発出場となったキルギス戦でノーゴール。鈴木優磨の負傷で追加招集を受け、再び巡ってきた代表定着のチャンスでアピールし切れなかったのだから。
 
 4-0でチームは勝利したとはいえ、やはり杉本の口から出てくるのは反省の弁だ。
 
「前半、相手も真ん中が多くて、揺さぶりながら縦というところは狙っていましたけど、なかなか入ることができなかった。チャンスもあったので、自分自身決めたかったですし、そこは悔しいですね」
 
 狙いは明確なはずだった。
 
「今日のゲーム展開では、前で駆け引きすること。それは自分のテーマであったので、あまり引かずに前で勝負しようと。(北川)航也と縦関係になるという形だったので、あまり自分は下がりすぎないことを意識していました」
 
 押し込む展開であれば、長身の杉本は役に立つ。引いてボールを受けるシーンも少なからず見られたが、2トップを組んだ北川航也とのバランスは決して悪くなく、高めの位置取りでパスを引き出した。
 
 実際、2分にバイタルエリアでのポストプレーから山中亮輔のゴールをお膳立てすれば、25分にはエリア内での空中戦で競り勝ち、伊東純也の決定機を演出。
 
 しかし、肝心のシュートは回数も少なく精度を欠いた。この日、杉本が放ったシュートはわずか2本(8分に伊東からのクロスに右足で合わせるシーンがあったが、公式記録ではシュートにカウントされず)。30分と55分のどちらもクロスを頭で合わせた形だが、いずれもGKに易々とキャッチされた。
 
 結局、先発起用にゴールと言う結果で応えることはできず、59分にピッチを退いた。それだけに、途中交代で入った大迫勇也や中島翔哉が短時間で得点するのを見て、心中穏やかではなかったはずだ。
 
『本来なら自分が決めるべきだった?』という記者の質問に、「もちろん、そうです」と悔しさを吐き捨ててミックスゾーンを後にする姿は印象的だった。
 

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