あと2試合勝てばJ1昇格!11年ぶりの悲願に挑む横浜FCが乗り越えてきた試練

2018年11月20日 高澤真輝

最終節後の会見でタヴァレス監督は唇を噛んだ

横浜FCはタヴァレス監督のもと、誰が出ても力を発揮できるチームに成長した。写真:田中研治

「ホームゲームで負けた試合のいずれかひとつでも引き分けに持ち込めていたら……。アディショナルタイムで追いつかれて勝点1しか取れなかった試合のどれかひとつでも取れていたら……ウチらは昇格をしていたと思う。詰めの甘さが、この結果になってしまった」
 
 最終節後の会見でタヴァレス監督は唇を噛んだ。2012年以来、最終節までJ1昇格の可能性を残していた横浜FCは齋藤功佑の得点で1-0の勝利を挙げて勝点76で2位の大分に並んだが、得失点差で上回ることができず惜しくも3位という結果でリーグ戦を終えた。
 
 指揮官の言葉どおり、あの試合で引き分けていれば、勝ち切ることができていれば――。振り返れば悔しさが込み上げてくる。だが、最後に4連勝で締めくくれたのは今季の積み上げがあったからこその結果だった。
 
 横浜FCにとって今季は「いろんな困難に立ち向かうシーズン」(タヴァレス監督)だった。DF陣に怪我人が多発してシステム変更、サッカーのスタイルを変えざるを得ないとき。主力選手の出場停止で欠いて戦力的に苦しい試合もあった。それでも「1試合ずつだけど、チームの試練というか、大きなものを乗り越えてきた」(北爪)。
 
 選手同士でのコミュニケーションの量を徐々に増やし、意見を擦り合わせて築いた堅い牙城から攻撃に転じる戦い方は、誰が入っても、形が変わってもブレることはない。指揮官は「調子の良い選手を使う」というスタンスを貫き、メンバーを固定化せずに良いコンディションの選手をピッチへ送り込んできた。たとえ昨季は絶対的に欠かせなかったイバを欠いたとしても、代わって入る選手が結果を残してきた。だからこそ最終節にレアンドロ・ドミンゲスが負傷交代しても、自信を持って冷静に戦うことができたのだ。その度重なる試練を乗り越えてきたからこそ、横浜FCは強いチームへと変貌を遂げていった。
 
「上手いだけだった集団が、勝ち方というか、現実性のあるリアリティのある集団に変わってきたのかなと思う。試合内容が悪いなり勝点を拾ったりだとか、最初のほうは先に失点をしたら大量失点をしたら負けていたりしていた。そういう甘さがあったけど、なくなってきた」(渡邊)
 

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