「ビッグマックが必要なようだ」最下位クラブの立て直しを任された“奇跡”の立役者ラニエリの秘策

2018年11月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

ラニエリが「全員の問題」として指摘したのは?

守備的なチーム作りには定評があるラニエリだけに、拙守が際立つフルアムでの改革に注目が集まる。(C)REUTERS/ AFLO

 イタリア人の老将は"奇跡"を起こした手腕を再び発揮できるのだろうか? 現地時間11月15日、プレミアリーグのフルアムに就任することが決まったクラウディオ・ラニエリには、早くも大きな期待がかけられている。

 2015-16シーズンにレスターで、奇跡のプレミアリーグ戴冠劇を演出したのが、ラニエリだった。

 前シーズンに土壇場で残留を決めていたフォクシーズに就任したイタリア人指揮官は、「すでに時代遅れ」とも指摘されていた下馬評を覆し、個性派ぞろいのチームを巧みに操舵。マンチェスター・シティやトッテナムの猛追をかわして、歴史的な偉業を成し得た。

 そんな67歳の老将が、新たなミッションを託された。それは今シーズンのプレミアリーグで最下位に沈むフルアムを残留に導くというものだ。

 これは百戦錬磨のラニエリといえど、容易ではない任務である。一度、停滞してしまったチームは、戦術の変更や選手起用を変えただけではどうにもならない部分があるからだ。

 しかし、ラニエリには"秘策"がある。それはチーム全員での食事会だ。これはレスターを優勝に導いた際にピザを振る舞ったことでも知られるイタリア人指揮官の、連帯感を高めるためのいわば常套手段だ。

 とはいえ、上位戦線を争い、上り調子にあった当時のレスターと最下位に沈むフルアムとでは、チーム状況は大きく異なる。そのためラニエリは「ピザじゃだめだ」と別のものを用意しているという。それは一体何なのか? 15日に行なわれた会見で本人が明かした。

「私はより多くのことを約束する必要がありそうだね。選手たちは、マクドナルドの方が好きみたいだ(笑)。だから私は彼らにクリーンシートを達成した時にはマクドナルドのビッグバーガーを奢ることを約束しよう」

 いわゆる"にんじん作戦"をマイナーチェンジさせて実行することを明らかにしたラニエリだが、無論、戦術的なアプローチも念頭にはある。リーグワーストの31失点を献上している課題の拙守改善へ意気込んでいる。

「このチームはあまりに多くのゴールを許しすぎている。私はイタリア人の監督だ。だからクリーンシートを保つことが重要だ。イタリア人が"守備的に戦う必要がある"というときはストライカーも含めて話している。同じように"点を取れ"というときはゴールキーパーから言っている。リバプール戦の最初の失点は相手ゴールキーパーのロングパスからゴールが生まれたものだった。これは全員で取り組むべき問題だ」

 苦境の打破に向けての課題は山積みだ。それだけにラニエリも、「我々は一生懸命に働かなくてはならない。レスターでの優勝はおとぎ話だ。忘れたほうが良い。今は奇跡なんてことを考えないことが重要だ」と、よりリアリスティックに戦うことを示唆している。

 しかし、フルアムのファンが老将に期待するのは、やはりレスターがみせたような躍進だろう。チームの現状を考えれば、決して楽ではないこのミッションをラニエリは達成できるのだろうか? 注目の初陣は、現地時間11月24日に本拠地クレイブン・コテージで開かれるプレミアリーグ13節のサウサンプトン戦だ。
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