「彼らが大事件にした…」 前代未聞の『報復キック』で引退したフランス人審判がメディアとSNSを批判!

2018年11月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

「蹴り飛ばしたいというつもりはなかった」と釈明し…。

選手を蹴ったうえで退場にするというシャプロン氏のジャッジは、前代未聞の出来事として大きな話題となっていた。 (C) Getty Images

 今年1月、とある主審の前代未聞の行動が物議を醸した。

 その"事件"が起きたのは、今年1月14日に行なわれたリーグ・アン第20節のナント対パリ・サンジェルマンの一戦だ。

 この試合で主審を務めていたトニー・シャプロン氏は、プレー中に偶然、接触したナントのブラジル人DFジエゴ・カルロスに報復キックを見舞い、さらに同選手を退場処分にするという、暴挙とも言うべき裁定を下したのである。

 この衝撃的なレフェリングは、世界中で大きなニュースとなった。その後、フランス・サッカー連盟から6か月間の職務停止処分が下されたシャプロン氏は、昨シーズン限りで現役引退を決意。問題の試合が、審判キャリアにおけるラストゲームとなっていた。

 そしてこの度、英公共放送「BBC」のラジオ番組『BBC World Football Podcast』に出演したシャプロン氏は、「私は、彼を蹴り飛ばしたいわけではなかった」と、"事件"を振り返りつつ、釈明をした。

「残念なことをしたと思っている。私はあの試合の、あの瞬間にキャリアを終えることになった。これまで、1500試合でレフェリーを務めてきた。それが、あの一瞬の、単なる反射的な行動で終わりを告げたんだ。当然、受け入れるのは難しい。ただ、私も人間だ。痛みや恐怖も感じたし、疲れていた。攻撃的な意図はなかった」

 その振る舞いが故意ではなかったと明言したシャプロン氏は、さらにメディアの報道や世界の反応が事を荒立てたと主張した。

「あの時、選手や監督たちは『OKだ。彼はミスを犯した。それで?』という反応だった。だがメディアやSNSが、大事件に仕立て上げた。とはいえ、レフェリーがああいう行為をすべきではない。それには私も同意するし、自分のリアクションについて謝罪する。

 2006年のドイツ・ワールドカップ決勝で、ジダンが頭突きした時のことを思い出してほしい。彼はファンタスティックな選手で、世界最高の選手の一人と言っていいだろう。そのジダンのシチュエーションも、私のものと比べれば、世間のリアクションはそれほど大きなものではなかった」

 審判の世界を追われるように離れたシャプロン氏は、現在、母国フランスのメディアで、コメンテーターなどの仕事に従事しており、「BBC」によれば、その歯に衣着せぬ発言で人気を博しているという。
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