【2014南関東総体】男子準決勝|「周りに助けられた」プロ注目の中島賢星が決勝での躍動を誓う|東福岡 3-1 青森山田

2014年08月07日 安藤隆人

準々決勝の出場停止で狂ったボール感覚と状況判断。

東福岡の10番を背負うキャプテンの中島。1アシストしたものの、自身の出来には不満が募った。(C) SOCCER DIGEST

 前半で3点を挙げ、後半の青森山田の反撃を1点に抑えての勝利。決勝進出を果たし、16年ぶりの全国制覇(選手権2連覇の98年度が最後)に王手を掛けた。しかし、勝利に沸くなかで、キャプテンマークを巻いた東福岡の背番号10の表情は浮かないものだった。
 
 今大会の注目選手のひとりであるMF中島賢星。1年生でレギュラーの座を掴み、その後ひと回りもふた回りも大きく成長すると、今シーズンは東福岡の絶対的なエースとして君臨している。ダイナミックなドリブル、左右両方から繰り出す強烈なシュートと正確なパス。高い攻撃力を示す中島を目当てに、東福岡の試合には多くのJクラブのスカウトが集結し、すでに数クラブが獲得の意思を示している。
 
 準決勝の青森山田戦でも多くのスカウトが熱視線を送っていた。その中で中島のプレーは、出だしから輝きを放っていた。4-1-4-1の2シャドーに位置し、11分には左サイドでボールを受けると、裏に飛び出したFW木藤舜介へ正確なパスを送り込み、先制点をアシスト。その後も東福岡は24分、33分に追加点を挙げ、試合を優位に進めた。
 
 だが、後半は攻めに打って出るしかない青森山田の攻撃に、押し込まれる場面が多くなった。それと比例するように、中島がボールを受ける機会は減り、攻撃の起点として機能しなくなっていった。
 
「周りと噛み合わない自分がいた。細かいミスが多くて、自分の中で修正しきれないまま終わってしまった」
 
 勝利を手にすることはできた。しかし、自らの出来はその結果にふさわしいものではなく、到底納得できなかった。その思いに拍車をかけたのは、準々決勝の鹿児島実戦でピッチに立てなかったからだ。中島は3回戦の山梨学院戦でイエローカードをもらい、累積警告により出場できなかったのだ。それでもチームメイトが躍動し、エース不在のなかで4-2の勝利を収め、準決勝に駒を進めた。
 
 仲間に迷惑をかけ、1試合を休んでしまった分、青森山田戦は爆発しなければならなかった。しかし、結果は「不発」に終わった。
 
「1試合空いて、逆にリズムが崩れてしまった。ボール感覚や相手を見る動作が遅くて、それが違和感になっていた。試合中ずっとその違和感があった。今日も周りの仲間に助けられました」
 
 エースであり、注目の存在である以上、1アシストだけでは結果を出したと言えない。それだけ「ヒガシの10番」に対する期待は非常に大きく、周りの要求も高い。それは中島自身がよく理解しているはずだ。
 
「赤木(翼)、(増山)朝陽、木藤は運動量があって、攻撃の起点になってくれたのに、自分は何もできなかった。今日の出来は素直に受け止めて、明日の決勝はベストの状態で臨みたい」
 
 最高の舞台は用意されている。あとは自分自身の役割を全うするのみ。悔しさと歯がゆさを胸に秘め、「赤い彗星のエース」として決勝のピッチで躍動し、16年ぶりの全国制覇をその手で掴み取る決意だ。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)

【U-18プレミアリーグレポート】東福岡編

【U-18プレミアリーグレポート】青森山田編
 
男子|準決勝の結果
東福岡(福岡) 3-1 青森山田(青森)
得点者 東=赤木2、木藤
    青=松木
 
大津(熊本) 1-0 前橋育英(群馬)
得点者 大=坂元
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