“スペイン巨星対決”にイニエスタ&F・トーレスは何を思っていたのか? 両雄が語った「特別なこと」

2018年11月10日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

まず、スタンドを沸かせたのは!?

ピッチ上で異彩を放ったイニエスタとF・トーレス。果たして二人はどのような気持ちでプレーをしていたのか? (C) SOCCER DIGEST

 チケットが完売になるなど、試合前から日本のサッカーファンを賑わせていたアンドレス・イニエスタとフェルナンド・トーレスによる「スペインの巨星対決」は、期待に違わぬ盛り上がりとなった。

 8月22日の天皇杯4回戦(3-0で鳥栖勝利)以来となる両雄の対決とあって超満員となったスタンドを、まず沸かせたのは、F・トーレスだった。

 前節からキャプテンを任されている男は、試合前のアップで先陣を切って勇ましく登場。すると、スタンドから一気に歓声が上がった。姿を見せただけで会場の空気を一変させるあたりは、流石、世界屈指の"イケメン"戦士である。

 一方のイニエスタは、やはりその妙技でもってファンを魅了する。開始8分に軽やかなボールタッチで相手DFをいなせば、その30分後には4、5人の敵に囲まれながらも、ワンタッチパスとリズミカルなドリブルで詰まった状況を簡単に脱してみせた。

 後半も一進一退の攻防戦が続くなか、F・トーレスが自陣に下がって味方からのパスを引き出す工夫を見せれば、イニエスタも落ち着いたボール捌きと時折見せる相手の意表を突くパスで、双方ともに存在感を放った。

 ボールを持つたびに何かを期待させたスペイン・サッカー界のスターの対決。それを当人たちはいかに感じながらプレーしていたのか? この日、71分に「戦術的な理由(金監督談)」によってピッチを退いたF・トーレスは、「彼とは昔から一緒だったから嬉しい」と感慨深げに語った。

「いつだって彼(イニエスタ)とプレーすることは素晴らしいね。彼とフットボールをプレーするのは久々だったけど、彼はいつだって本当にベターだ。アンドレスとの会話? プライベートなことだよ(笑)。15歳から代表チームで一緒に戦って、それから何年もの時が経って、もう一回、一緒に違う国の、違うリーグで戦えることは特別なことだ」

 一方、3試合連続でフル出場を果たしたイニエスタも、"盟友"に同調するように「特別な試合だった」と振り返っている。

「僕にとっても、彼にとっても、とても特別な試合になったんじゃないのかなと思う。長い間、友であり、お互いにサッカー界で頑張ってきた仲間として、それが何年も経って日本でプレーするということに特別な意味がある。お互い自分のチームが勝つために最大限を尽くしたと思いますね」

 15歳の頃から代表チームで研鑽を積み、2010年南アフリカ・ワールドカップの優勝やEUROの連覇(2008年と2012年)など、数々の栄光を収めてきたふたりの偉人。試合結果こそ痛み分けに終わったが、両者の凄みを随所に垣間見ることができた一戦であった。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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