南米王者決定戦で実現! 「戦争」とも形容される“スーペル・クラシコ”は一体何が凄い?

2018年11月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

“戦争”と形容されるライバル関係。

ピッチの内外で激しくぶつかり合う両チーム。それだけに熱量は世界のダービーマッチの中でも指折りだ。 (C) REUTERS/AFLO

"一大決戦"の開戦のときが刻一刻と迫っている。現地時間11月10日と24日に行なわれるコパ・リベルタドーレスの決勝で、ボカ・ジュニオルスとリーベル・プレートが激突するのだ。

「スーペル・クラシコ」――激戦必至のアルゼンチン・サッカー界の両雄によるマッチアップは、同大会の決勝でこれまで実現してこなかったこともあり、普段の対戦以上に熱を帯びている。

 では、一体、このカードの何が凄いのか? 実際に起きた"事件"を踏まえて少し紹介しよう。

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで人気を二分するボカとリーベルのライバル関係は、"フットボール界の戦争"と形容されるほどに熱く、激しい。当初同じボカ地区に本拠を構えていたリーベルが1923年に緑豊かで裕福なヌニェス地区に移転してから、労働者階級が支持してきたボカとの対立は深まったと言われている。

 どちらもラプラタ川の河口沿いに位置するボンボネーラ(ボカの本拠地)とモヌメンタル(リーベルの本拠地)は、距離にして10キロ強。両スタジアムで繰り広げられる観客をも巻き込んだ争いは、毎回熱病に冒されたような喧噪となり、暴力沙汰に発展することも珍しくない。

 相手を憎む気持ちが沸点に達した時、それは大騒動を生む。2015年5月14日にボンボネーラで行なわれたコパ・リベルタドーレスの決勝トーナメント1回戦第2レグで起きた事件は、まさにこのダービーマッチが"戦争"と呼ばれる所以だ。

 まもなく後半が始まろうかという時だった。ロッカールームからピッチに戻ったリーベルの選手たちが目をこすり、あるいは顔に水をかけ、何かを洗い流そうとしている。「見えない! 見えない!」、「全身が痛い!」とリーベルの選手たちが口々に訴えた。この事件の1時間後、試合は中止となり、リーベルの選手4人が、治療のため病院に運ばれた。

 この時、彼らが浴びていたのは催涙スプレーだった。ロッカールームとピッチを結ぶ柔
軟な素材でできた簡易通路に何者かが穴を開け、催涙スプレーを噴射したのだ。

 リーベルは結局この大会、19年ぶりに南米王者へと駆け上がった。一方のボカは、この事件の処罰で大会から排除され、無観客試合4試合を命じられた。「フーリガンが(小型の)武器を持ち込むのは防げない。あの連中は病んでいる」と訴えたボカのダニエル・アンジェリッシ会長はさらに「これはフットボールの問題ではない。クラブの問題だ」と嘆いていた。

 大一番を前に、地元政府の両サポーターに対する警戒は日々強まっているようだが、当日は何事もなく、南米王者を決めるに相応しいスペクタクルなゲームが展開されることを願いたいところだ。

【通算対戦歴】
スーペル・クラシコ(アルゼンチン)/初対戦:1913
ボカ(1部) 88勝・77分・81勝 リーベル(1部)

歴代最多出場|42試合|レイナルド・メルロ(リーベル)
歴代最多得点|16得点|アンヘル・ラブルナ(リーベル)

※『ワールドサッカーダイジェスト』11月15日号より加筆
 
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