【セルジオ越後】頭から全開で入った湘南の作戦勝ち! 存続が危ぶまれる南米王者とのカップ戦はぜひ実現を!!

2018年10月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

後半はベルマーレも息切れしていたが……

湘南の東京五輪世代、杉岡が弾丸ミドルを叩き込む。これが決勝点となった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 ルヴァンカップは湘南ベルマーレが横浜F・マリノスに1対0で勝って、初優勝を決めたね。クラブ創設50周年の節目の年に優勝したというのは、クラブにとっても古くからのサポーターにとっても感慨深いものになったのかな。
 
 試合はベルマーレが頭からエンジン全開で、かなり積極的な試合運びを見せて、マリノスを押し込んでいた。一方のマリノスは伊藤が怪我でベンチスタートになり、ニューヒーロー賞の遠藤もリーグ戦の怪我が原因で欠場。そうした面も響いたのかもしれないけど、いずれにしてもベルマーレの積極性が試合の流れを明確なものにしていたね。
 
 ただ、ベルマーレとすれば、あれだけ序盤から飛ばし続けて、前から前から仕掛けたわけだから、前半で試合を決めるくらいの展開に持ち込みたかった。MVPを獲得した杉岡のミドルシュートはすごかったけど、結局は決定機をいくつも作りながらあの1点にとどまった。それが後半の展開を"面白く"してしまったわけだ。
 
 後半は徐々に息切れしてきたベルマーレに対して、マリノスが息を吹き返して攻め続ける構図になった。マリノスも今季からポステコグルー監督の下、攻撃的なスタイルを貫いてきたんだろうけど、ちょっとアイデアがなかったよ。僕にはサイドに出して、そこからクロスを入れて勝負、というワンパターンの形しかないように映った。
 
 ベルマーレも苦しくなってきて中に人を集めて守っていたから、そこにアバウトなクロスを放り込んでも簡単には崩し切れない。焦れば焦るほど、攻撃は強引になってワンパターン化するから、終盤はもうベルマーレとしても守りに集中しやすかったんじゃないかな。
 
 結局、お互いにフィニッシュの局面ではあまりクオリティを発揮できていなかった。ベルマーレはゴール前に運ぶスピードは素晴らしかったけどシュートが枠にいかないし、マリノスも決定的なピンポイントのクロスを上げられる選手がいなかった。そういうなかで拮抗する展開になり、最後は先制したほうが気迫で1点を守り切った。終わってみれば、ベルマーレがうまく一発勝負を戦いきったという気がするよ。ベルマーレの作戦勝ちという印象が残る決勝だった。
 

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