【ルヴァン杯決勝】MVPを受賞したU-21代表の俊英!杉岡大暉の転機は夏に訪れた

2018年10月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

躊躇せずに左足を一閃!思い切りの良いプレーが杉岡の取り柄

ゴール以外でも攻守に躍動。球際に強く、相手に競り負ける場面はほとんど見られなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァン杯決勝]湘南1-0横浜/10月27日(土)/埼玉スタジアム2002 

 10月27日に行なわれたルヴァンカップ決勝で横浜と対戦した湘南は、1-0で勝利を収め、大会初制覇を成し遂げた。
 
 この試合唯一のゴールが生まれたのは36分のことだ。序盤から押し込んでいた湘南はこぼれ球を拾った杉岡大暉がペナルティエリア外から左足を振り抜く。相手GK・飯倉大樹の手を弾いた一撃は、見事にネットに突き刺さってチームに勝利をもたらした。
 
 ファイナルの舞台で印象的な活躍を見せ、MVPを受賞した杉岡。「本当に自分でもびっくりしました」と話したように自身のゴールは出来過ぎだったようだが、決して偶然から生まれた得点ではない。
 
「自分のなかでリズムもありましたし、1度は思い切って打っておかないと思っていたので(打って)良かった。元々、(横浜は)斜めの飛び出しに弱いという分析があった。たまたまこぼれてきただけですけど、良い場所に入ってフリーで持てたので本当に思い切って打ちました」
 
 杉岡の言葉どおり、アグレッシブな攻め上がりから生まれた値千金の一撃は、積極的な姿勢がなければ生まれていなかったはずだ。
 
 元々、勇猛果敢なプレーが真骨頂の杉岡だが、夏場以降は本来の良さが見られなくなっていた。とりわけ、U-21代表の一員として参加していた8月のアジア大会以降は疲労もあって、思うように動けず。曺貴裁監督も「若いのに気持ち的にチャレンジするとか、仕掛けていく気持ちが足りなくなっていた」と、若き守備者に奮起を促していた。
 
 そんな杉岡に転機が訪れる。9月26日のJ1リーグ18節の川崎戦だ。杉岡は先発出場を果たすと、プロ入り後初めてキャプテンマークを託された。その意図は腕章を巻く機会を与えて責任感を高め、「俺が引っ張る」という想いを見せて欲しかったからである。
 
 指揮官の思惑通り、その試合で率先して前に出ていくなど復調の兆しを見せた。以降は本来の良さが戻り、先日のJ1リーグ30節の札幌戦では地を這うような一撃を左足で沈めている。そうした意味で川崎戦は杉岡にとってターニングポイントのひとつだった。
 
 完全に吹っ切れた杉岡はルヴァンカップ決勝でも活躍し、チームの優勝に貢献。MVPまで受賞する大車輪の活躍だった。これで周囲からより注目されるだけに、A代表入りも含めて今後の成長が待たれる。

 ただ、本人はいたって冷静だ。「まだ分からないですけど、これからいろんな影響が出てくると思うので、勘違いせずにやっていきたい」と最高の結果にも満足していない。U-21代表の有望株はルヴァンカップを通過点とし、取り戻した思い切りの良いプレーを武器に一層の飛躍を期す。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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