「僕、泣き虫なんで」涙のカリスマ・梅崎司が挑む因縁の舞台――ルヴァン杯決勝

2018年10月26日 佐藤亮太

その原点は2011年、鹿島とのナビスコカップ決勝だった

梅崎が浦和の選手として初めて迎えた大舞台、2011年のナビスコカップ決勝。結果は鹿島に0-1で敗れた。(C) SOCCER DIGEST

 27日のルヴァンカップ決勝に臨む湘南ベルマーレのMF梅崎司はタイトルに飢えている。そして梅崎のサッカー人生は涙とともにある。
 
 その始まりは浦和レッズ在籍中の2011年、鹿島アントラーズとのナビスコカップ決勝に遡る。この年、若手の起用や監督交代があった浦和はリーグの残留争いをよそにカップ戦は決勝まで進んだ。この時、右膝半月板損傷の大怪我から復帰したばかりの梅崎は、主力として決勝の舞台に立った。試合は延長戦の末、0-1で敗戦。梅崎は表彰台を見上げ、悔し涙を流した。「当時のチームは勢いがありました。僕にとっては怪我からの復活の狼煙を上げるべく臨んだ大会。勢いのまま、決勝まで勝ち上がった結果、勢いだけじゃ勝てない、負けるべくして負けた試合でした」と振り返った。

 
 あれから7年。これまで梅崎には様々な涙があった。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督体制2年目の13年。再びナビスコカップ決勝に進んだ浦和は、柏レイソルに0-1で敗れ、準優勝。ベンチスタートの梅崎に出番はなかった。16年ルヴァンカップ決勝ではPK戦の末、ガンバ大阪を破り優勝したものの、梅崎は準々決勝のヴィッセル神戸との第1戦で相手選手と接触。左膝前十字じん帯損傷を負った梅崎は、チームメイトの喜びの輪をスタンドで見ていた。
 
 そして昨年12月、アル・ヒラルとのACL決勝、埼スタでの第2戦。浦和は2戦合計2-1で優勝。後半アディショナルタイムから出場した梅崎だが、やっと優勝の瞬間をピッチの上で味わえた。昨季のオフ、10年間在籍した浦和から湘南への移籍を決めた際、自身のブログにこれまでの想いをどう伝えればよいのか、書いては消しを繰り返すうちに、いかに浦和を愛していたのかに改めて気づかされ、涙を流し書き上げた。
 
 明けて18年シーズン、湘南の選手として乗り込んだリーグ11節のアウェー浦和戦。わずか3分の出場だったが、終了後、浦和サポーターからの温かい声援に変わらない固い絆を感じ、人目もはばからず涙した。そして湘南にとって初の決勝進出を懸けた柏とのルヴァンカップ準決勝。1-1で迎えた第2戦。キャプテンマークを巻いた梅崎は120分、ピッチを駆け回った。その疲労からか、PK戦ではシュートを外してしまい、暗澹たる思いを味わったが、最後は喜びの涙となった。
 

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