【ACL展望】水原三星×鹿島|命運を左右する西、土居、安西の起用法

2018年10月23日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

土居と鈴木の流動的な関係性にも期待

故障者/鹿島=レアンドロ、遠藤、内田、中村、伊東
出場停止/鹿島=なし

 悲願のアジア制覇は果たせるのか。
 
 クラブ初のファイナル進出を賭け、10月24日、鹿島がアウェーでのACL準決勝第2レグに挑む。10月3日のホームでの第1レグは、開始早々に2点のリードを許す厳しい展開だったが、21分に相手のオウンゴールでまずは1点を返すと、84分に西大伍のお膳立てからセルジーニョが同点弾。さらにアディショナルタイムには、FKのこぼれ球を内田篤人が押し込み、劇的な逆転勝利を収めた。
 
 ふたつのアウェーゴールは痛手ではあるが、それでも勝利を手にできたのは大きい。もっとも、大岩剛監督は第1レグの勝利を「まったくないものだというふうに感じています」と、アドバンテージを頭には入れず、目の前の一戦に集中するつもりだ。
 
 ただ、この大一番で指揮官は苦しいやり繰りを強いられることになりそうだ。内田、中村充孝が、ともに10月10日のルヴァンカップ準決勝第1レグ(横浜戦)で負傷し、全治まで約6週間の診断が下された。当然、この試合には間に合わず、さらに遠藤康が先日のJ1・30節の浦和戦で足を痛め、安部裕葵はU-19アジア選手権に参戦中、レアンドロは両膝の怪我で長期離脱中と、少なくない主力を欠いている状況だ。
 
 最大の焦点は、中村、遠藤、安部、レアンドロが不在の2列目で誰を起用するか。これまでの流れでいけば、左サイドは安西幸輝、右サイドには土居聖真を据えて、内田のみならず、伊東幸敏も怪我で欠く右SBは西というのが妥当な線だろう。
 
 複数のポジションをハイレベルでこなせるこの3人は、戦術の幅を広げてくれる貴重な存在でもある。それゆえに、今回は西の高い攻撃センスを買って、先発から右サイドと予想。周知のとおり、元々は中盤の選手である西は、試合途中のコンバートや途中出場から中盤に入り、効果的なプレーを連発。高い位置での守備力にも期待ができる。

 
 空いた右SBには、左右をこなせる安西で問題ない。土居は右よりも左のほうがフィットするはずで、サイドハーフでも計算できる鈴木優磨とポジションを入れ替えながら、攻撃に流動性をもたらしてほしい。
 
 また、長い期間、左足首の負傷に悩まされてきたディフェンスリーダーの昌子源は、10月14日のルヴァンカップ準決勝第2レグの横浜戦で復帰し、6日後の浦和戦でフル出場。浦和戦は1-3と手痛い完敗を喫し、昌子自身も不甲斐ない結果に悔しさを滲ませていたが、90分間プレーできたことについては、「自分の中ではすごくプラスだった」と確かな手応えを掴んでいる。"完全復活"は近そうだ。
 
 一方、チームとしては、試合の入り方に課題を残すだけに「個人的には、堅く入れるかどうかが重要」と土居が話すように、序盤の時間帯をいかに耐えて、流れを引き寄せられるかが重要になってくるはず。隙のないディフェンスで相手の攻撃を撥ね返しながらリズムを生み出し、ワンチャンスをモノにする。そんな試合巧者ぶりを発揮して、決勝への道を突き進みたい。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事