4連覇は目前!! 女子サッカー界にそびえ立つ緑の塔「ベレーザ」はなぜ強いのか?

2018年10月22日 西森彰

指揮を執るのは理論的なサッカーを提唱する永田雅人監督

4連覇へ邁進する日テレ・ベレーザ。今節での優勝は決まらなかったが、いまだ圧倒的優位を保つ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 2018プレナスなでしこリーグ第16節。首位の日テレ・ベレーザは、味の素フィールド西が丘にINAC神戸レオネッサを迎えた。勝てばリーグ4連覇が決まる日テレは、前半から主導権を握ったが、INACも、目の前で胴上げされるのはカップ戦だけで十分と、激しく抵抗。

 
両軍の決定機に、5000人近い観客から何度か歓声は上がったが、どれもゴールには至らず。スコアレスドローのまま、タイムアップの笛が吹かれた。
 
 日テレは、今季、早々とリーグカップを手に入れ、このリーグ戦でも優勝は持ち越しになったものの、まだ圧倒的優位にある。指揮を執っているのが、永田雅人監督だ。ピッチを広く使い、彼我の優劣を考えながら戦う、理論的なサッカーでチームを指揮する。
 
 ピッチの中央でボールを見せて、相手が群がってくれば開いた両サイドに散らす。あるいは、両翼がサイドを突き、相手を引きずり出してから、中央を突く。絶えず、相手にとって一番嫌なカードを、切っていくのだから、相手としてはたまらない。
 
「今年は監督が代わって、昨年までとどこが一番違うと聞かれても、全く違うとしか……。最初は決まり事が多くて、やりにくい部分もあったんですが、ちょっとずつ積み上げられている自信はあります。相手(の特徴や戦い方)にあわせてサッカーができるようになってきました」
 
 そう口にするのは、チーム最大の得点源である田中美南(日テレ・ベレーザ)。キャプテンマークを巻いた今季は、開幕から4戦ゴールがなかったが、第5節の浦和レッズレディース戦で初ゴールを奪うと、そこから中断期間を挟んでリーグ戦の7試合連続ゴール。16試合を終えて14点として、3年連続の得点王をほぼ手中にしている。
 
 この田中のゴールを間接的に支えているのが、両ウイングで起用されることの多い若手だ。U-20女子ワールドカップで活躍した植木理子、宮澤ひなたや、大ケガを乗り越えてきた小林里歌子らが、ゴールに向かって本気で仕掛ける。これが得点につながらずとも、相手ディフェンダーを引きつけ、田中への集中マークを分散させている。
 
「カバーがいなくて個で行ける時は、選手の成長を促す上でも『行けるところは行け!』と言っています。ペナルティエリアの中に入っていく突破力を上げていきたいというのはありますので、どんどんチャレンジしてほしい」(永田監督)
 

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