【選手権出場校・旭川実】堂々3連覇! 北の強豪は“夏の屈辱”からいかにして這い上がったのか

2018年10月22日 吉田太郎

目ざすは全国ベスト4。伸びしろは十分だ

本大会行き第1号となった旭川実は旋風を巻き起こすか。8強に食い込んだ昨年インターハイの再現を狙う。写真:吉田太郎

[選手権・北海道決勝]旭川実 2-1 北海道大谷室蘭/10月21日/札幌厚別

 富居徹雄監督によると、インターハイで8強入りした昨年と比べて「イマジネーションは今年のほうが高い」チームなのだという。
 
 今季の旭川実はプリンスリーグ北海道得点王のエースFW西村歩夢(3年)、昨年のインターハイで評価を高めたMF河合悠人(3年)やMF山内陸(3年)、さらにはU-15日本代表歴を持つドリブラーのMF遠藤正志(3年)らアタッカー陣を中心に、面白い顔ぶれが集う。ただ、勢いに乗った時に爆発的な力を発揮する一方で、上手くいかないとイライラして自滅する試合もあったという。
 
 選手権予選を連覇した昨年のレギュラーが5人残り、北海道勢として23年ぶりとなるインターハイ8強を果たした。周囲から「今年も旭実は強い」との評価を得て、勘違いしてしまったわけではないだろうが、「俺たちもできる」という感覚を持っていたのは確かだ。加えて山内は、「トレーニングで気が抜けるところがあった」と振り返る。プリンスリーグ北海道で開幕5連勝を記録したものの、優勝候補筆頭で臨んだインターハイ予選ではまさかの準決勝敗退。その後、自分たちを見つめ直したことで、チームは少しずつ変化した。

 
 富居監督が「本当のクソマジメ」と評する主将のCB西村知広(3年)を中心に、「しっかり声を掛け合ってヌルい練習にならないようにしていました。試合でもひとのせいにしない。個人ではなく、チームのせいなんだと」(山内)。北海道大谷室蘭との道予選決勝で明示したのは、こうした彼らの成長した姿だ。
 
 先制点を奪われると気持ちが落ちていたというチームが、この日は焦れずに攻め続け、前半終了間際に同点ゴールを決めてみせた。後半も5バックを敷いて守る大谷室蘭に決定的なシュートを連続で止められ、天を仰ぐようなシーンがあったが、それでも屈することなく畳み掛け、後半18分にFW谷口明典(3年)のロングスローから山内が決勝点を蹴り込んだ。
 
「プリンスでは全然取れなかったけど、選手権で取れるようになった。一個の武器になる」(西村)というセットプレーからの2得点。繋ぐスタイルと多彩な崩しで全国4強以上を狙うチームは、新たな武器も加えて選手権に臨む。
 
 富居監督は「これからも修正していかないといけない」と口にした。予選決勝は前線からの守備もハマり、シュート数15対4での堂々たる勝利だったが、フィニッシュの局面での精度など、まだまだこだわらなければならない部分がある。「(目標は全国ベスト4と)言った以上、やらないといけない。しっかり準備したい」と気を引き締める指揮官。細部を突き詰めて、自分たちの強みをより発揮できるチームへと進化できるか。伸びしろは十分だ。
 
取材・文●吉田太郎
 
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