Jリーガー3人も加わったタイ代表は親善試合2戦2勝! 日本で好調のチャナティップは?

2018年10月18日 佐々木裕介

合流した空港でのファンとのやり取りを見れば“別格の存在”

Jリーグで活躍する3人が加わったタイ代表はホームでトリニダード・トバゴに勝利。しかし、その出来は…。(C) SOCCER DIGEST

 J1リーグ29節が終了した10月最初の週末、札幌MFチャナティップ、神戸DFティーラトン、広島FWティーラシンの3名は、バンコク行きのフライトに搭乗していた。タイ代表に招集されたためである。
 
 日本代表が連勝を飾った10月シリーズの裏で、タイ代表も強化に余念がない。11日にアウェーで香港代表と、また14日にホームでのトリニダード・トバゴ代表と戦ったが、上記3名は香港での試合を免除された格好だ。
 
 彼らは、代表チームが香港遠征から戻ったバンコク・ドンムアン空港で合流する。私服姿でやってきた彼らを見付けて写真をせがむファンとのやり取りをみていると、改めて"別格の存在"なのだと実感した。
 
 バンコクから北西へ約100㌔の街、スパンブリーでの開催となったトリニダード・トバゴ代表戦は、長年タイ代表に名を連ねたGKシンチャビンチャイの引退試合と銘打った試合でもあった。試合前のテレビ映像には、シンチャビンチャイが選ぶ"一緒にプレーした歴代タイ代表ベストイレブン"の映像が流されたのだが、Jリーガー3名もそろい踏み、タイサッカー史を語るうえでも彼らは"生けるレジェンド"なのである。
 
 では、タイ代表の10月強化シリーズはどうだったのか。結果は2戦2勝、数字だけ見れば申し分ないように思えるのだが、決して楽観できるものではなかった。
 
 初戦の香港戦は1-0。香港地元紙が『帰化選手vs混血選手』と煽った試合、南米やアフリカからの帰化選手が多い香港代表の攻撃を、ヨーロッパとの混血選手が多いタイ代表がどうやって抑えるのかが現地では注目された。
 
 開始早々の1分に"混血選手"DFフィリップ・ローラーの代表初ゴールでタイ代表が先制するが、その後が続かない。試合全体の印象として、相手を脅かす決定機は香港の方が多く、迫力ある"帰化選手"の攻撃を耐えた90分、香港メディアにしてみれば負けはしたが、シナリオ通りといったところだろう。
 
 またJリーガー3名が揃って先発出場したトリニダード・トバゴ代表戦も1-0で勝ちはしたが、快勝とは程遠い内容だった。
 
 予想に反して、トリニダード・トバゴ代表のモチベーションが高かったことは感じられたが、ティーラトンは対局する選手の速さに何度も振り切られ、ティーラシンはチャンスに顔を出すもののシュートに精彩を欠いた。またチャナティップにいたっても、周りとの連係がスムーズではなかった。それでも彼らが加わったチームは、3日前の香港戦からクオリティが向上したことは誰の眼にも明らかだったのだが。

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