鳥栖が取り戻した「純粋な競争」。監督交代で選手の士気も回復

2018年10月15日 荒木英喜

3年間でほとんど行なわれていなかった、フルコートでのゲーム形式も実施された

29節終了時点で17位に沈む鳥栖。ここから巻き返してJ1残留を狙う。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 10月9日、鳥栖はマッシモ・フィッカデンティ監督を更迭し、鳥栖U -18の監督を務めている金明輝コーチがトップチームの指揮を執ることを発表した。また、フィッカデンティ監督の今後については協議中であるとした。

 フィッカデンティ体制となって3シーズン目の今季、鳥栖はチームスローガンを「ITADAKI(頂)」とし、タイトルを獲得する意気込みを示した。開幕からの5試合は2勝2分1敗とまずまずのスタートを切った。しかし6節以降、J1に戦いの舞台を移してからワーストとなる7連敗を記録。こうしたつまずきにより5節終了時に6位だった順位は、ワールドカップによる中断に入る15節終了時には17位とJ2自動降格圏にまで落としてしまった。リーグ戦再開後も思うように勝ち星を伸ばせず、29節終了時で17位のままである。こうした成績だけを見れば、指揮官の交代がいつ起きてもおかしくなかった。

 約2か月ぶりに練習が公開となった10月10日の練習後、金明輝コーチは「昨日、今日とトレーニングをやりましたが、みんなすごく活気あふれる感じでやってくれたし、(J1残留は)なんとかなるのかなと思っています」とポジティブに話した。その言葉どおり、翌11日の練習でも選手から大きな声が出て、時折笑顔が見えるなどチームに指揮官交代のショックは感じられず明るい雰囲気だった。 
 
 それにはこうした理由があるだろう。フィッカデンティ監督が指揮を執っていた頃は、レギュラーのほとんどが固定され、純粋な意味でのチーム内の競争はないに等しかった。もちろん、チームが強くなるためには、ある程度固定されたメンバーで戦う方がコンビネーションなどの面でメリットはある。しかし、決してコンディションがいいと思えない選手が先発に名を連ねるなど疑問点もあった。
 
 金明輝コーチは「純粋に競争してもらって、僕が見て、勝てるメンバーでいきたいと思っています」と選手起用について語る。そのためこの日の練習では、ここ3年間でほとんど行なわれていなかったフルコートでのゲーム形式も実施された。選手の入れ替えも頻繁に行ない、まさに横一線の競争がスタートしている。こうしたことが選手のモチベーションアップにつながったことは間違いない。
 

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