クロアチア、イングランド戦の“無観客”ペナルティーに「ファン不在での試合開催は正しくない」と指揮官

2018年10月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

3年前の観客の不祥事によって…

衝撃的ですらあったスペイン戦の大敗。疲労のチームを、過去の観客の愚行が苦しめる結果に……。ちなみに3年前の問題の一戦は、さらにそれ以前の観客の不祥事により、これも無観客で行なわれていた。 (C) Getty Images

 ロシア・ワールドカップ準優勝を飾りながら、ネーションズ・リーグの初戦となったスペイン戦を0-6の大差で落としたクロアチア代表。今度は悪い意味で世界を驚かせてしまった彼らは12日(現地時間)、ホームでイングランドと対戦する。
 
 しかし、リエカで開催されるこの重要な一戦、クロアチアはホームの大観衆の後押しを受けることができない。
 
 2015年6月に行なわれたEURO2016予選のホームでのイタリア戦で、何者かがピッチ上にナチスのシンボルであるハーケンクロイツ(鉤十字)を浮かび上がらせたとして、クロアチアはUEFAから、2試合の無観客試合のペナルティーを科された。
 
 今から3年以上前の話だが、この間、UEFA主催のホームゲームは1試合しかなかったため、今になってこの罰則が適用されることとなってしまったのである。
 
 ロシアW杯では準決勝で激戦を繰り広げた相手とのリマッチであり、多くの観客の動員が見込めた試合をクローズドの状態で行なわなければならないのは、クロアチアにとっては非常に痛い。もちろん、イングランド側もこの一戦を生で観戦したいと考えていたファンは少なくなかっただろう。
 
 クロアチア代表のズトラコ・ダリッチ監督は「アンフェアだ」と、この処置に不満を述べている。(『AFP』より)
 
「我々がUEFAから制裁を受けなければならないことは承知しているが、ファン不在での試合開催が正しいこととは思えない。もちろん、我々はこれを受け入れ、ベストを尽くすが……」
 
 ピッチ上では目覚ましい活躍を見せているクロアチアだが、一方で観客はこれまで、暴力事件、試合の妨害など、多くの不祥事を起こしてきた。UEFAのアレクサンデル・セフェリン会長も、これを問題視している。
 
「クロアチアはサッカー界の特別な存在であり、そのプレーで数々の奇跡を起こしてきた。だが同時に、彼らは多くの解決すべき問題も抱えている。最も深刻なのは他国に比べ、フーリガンに関連する事件が起きやすい状況が揃っていることだ」
 
 代表チーム、そしてレアル・マドリーでも重要な役割を担い、FIFA年間最優秀選手賞などの個人タイトルを独占しているルカ・モドリッチらが、クロアチア・サッカーのイメージを高めている一方で、それを貶めている愚かな輩とその行為……。同国は今後、この問題に対してどう取り組んでいくのだろうか。
 
 なお、UEFAの裁定への不満を述べたダリッチ監督はさらに、「この状況でイングランドと対戦することは、簡単ではない」とこぼしているが、"敵"は無観客だけではないとも語っている。
 
「スペイン戦に0-6で敗れた我々は、チームを改善し、次は良い試合を見せなければならない。しかしW杯から多くの試合を戦い、選手は疲れている。我々は、気分一新して再スタートを切る必要がある。我々が今、戦っているのはネーションズ・リーグだが、目標はあくまでもEURO2020だ」
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