台風25号が邪魔した“マッチアップ”と運んできた“スーパーゴール”。伊東純也の想いは?

2018年10月08日 飯尾篤史

ともに日本代表に選出された神奈川大・先輩とのマッチアップは……

神奈川大の先輩・佐々木翔とのマッチアップが注目された広島対柏戦だったが、台風25号の強風の影響によって、対峙する場面はあまりなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 J1・29節のサンフレッチェ広島対柏レイソル戦の見どころのひとつが、広島の左サイドバックの佐々木翔と柏の右サイドハーフの伊東純也とのマッチアップだった。
 
 ふたりは新生・日本代表の初陣である9月のコスタリカ戦に招集され、佐々木は先発出場。伊東は途中出場ながらゴールを奪い、いずれもパナマ、ウルグアイと対戦する10月シリーズにも引き続いて選出された注目株だ。

 
 それだけでなく、神奈川大の先輩・後輩の間柄で、佐々木が4年生の時、伊東が1年生。コスタリカ戦後にはツイッターの「サッカー日本代表公式アカウント」が2ショット写真を公開して話題を生んだ。
 
 だが、この注目のマッチアップに思わぬ、邪魔が入った。
「風があったので、対戦する場面はあまりなかったですね」
 
 伊東が振り返ったように、台風25号の影響を受け、ピッチ上は強風に見舞われた。とりわけ前半は、風下に回った広島のGK林卓人のゴールキックが風に押し戻されて自陣半ばまで戻されるほど。まともにサッカーができる状況ではなかった。
 
 この強風を味方につけたのが、前半に風上に立った柏であり、伊東だった。
「今日は風が強かったので割り切りました。シンプルに前に入れてこぼれ球を狙う戦い方がうまくいったと思います。(自分としては)天候的にドリブルが難しかったので、それ以外の部分で良さを出せればと」
 
 柏がコーナーキックを獲得した23分の場面。GK林がパンチングで逃れると、クリアボールに伊東が右足のダイレクトで合わせ、ゴール左隅に突き刺した。さらに27分、相手DFのヘディングによるクリアボールをトラップすると、その落ち際を蹴り上げ、再びゴール左隅に叩き込んだ。
 
 いずれもペナルティエリア外から放ったシュートが風の勢いに乗ったもの。スピードやドリブル突破が武器の伊東だが、「風を利用して上手くいった」という頭脳的なゴールだった。その後、オルンガのゴールで追加点を奪った柏はそのまま逃げ切りに成功し、5試合ぶりの勝利を飾った。

次ページ「今のチーム状況を考えると、ああいうスーパーゴールが必要なのかなと」(大谷)

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