【現地発】バルサ戦でレガネスに勝利をもたらした20歳のオスカルはマドリー・ユースの“一番星”

2018年10月06日 エル・パイス紙

3年前にはマンチェスター・Cも強い興味。

マドリー・カンテラの期待の星オスカル(左)。バルサ相手に決勝弾を奪った20歳は大きな自信を手に入れたはずだ。(C)Getty Images

 ラ・リーガ第6節でレガネスがバルセロナ相手に逆転勝利を飾った試合で、決勝ゴールを決めたのがオスカル・ロドリゲスだ。

 レアル・マドリーからレンタル移籍中のオスカルは、現在20歳。マドリーに在籍するすべてのカンテラーノ(下部組織出身者)の中で、もっともトップチームに定着する可能性が高いと評判の選手だ。

 17歳の時には、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラから熱烈なラブコールを受けていたオスカルだが、今夏も1部リーグに属する数クラブの間で激しい争奪戦が繰り広げられた。

 セルタなどは、昨シーズンまで2部Bリーグ(実質3部)でプレーしていた選手としては破格の800万ユーロ(約10億4000万円)を提示し、買い取りオプション付きのレンタルでの獲得を狙っていた。

 その他にもエスパニョール、ラージョ・バジェカーノ、ヘタフェらが獲得に名乗りを上げる中、オスカルは最終的にプレースタイルの相性と同じマドリード州を本拠地にしている点を重視し、レガネスを武者修行先に選んだ。
 
 前述のバルサ戦後、「キャリアの中でもっともエキサイティングな瞬間だった。みんなの力で決めたゴールだ」と興奮を抑えられない様子だったオスカル。周囲の人間によると、エネルギーを使い果たし試合後は、歩くのにも一苦労だったという。

 さらに、そのうちのひとりはこう続けた。「夢のステージだった1部でのプレーを実現させ、しかもバルサ相手にゴールまで決めたんだ。子供の頃から生粋のマドリディスタだったオスカルがどんな気持ちか、容易に想像できるってもんだろ」

 もともとはトップ下のオスカルをセントラルMFにコンバートしたのが、一昨シーズンからレアル・マドリーBで指揮を執っているサンティアゴ・ソラーリ監督。オスカル自身は当初、このポジション変更に乗り気ではなかった。だが、そこにはソラーリ監督の、「才能に溺れず、チームのために走って戦える献身性を兼ね備えた選手に成長してもらいたい」という狙いがあった。

 バルサ戦では不慣れな左サイドで起用されたが、みずからの役割をしっかり自覚し、豊富な運動量で攻守にチームを支えるプレーを見せることができたのは、マドリーB時代の鍛錬の賜物だろう。

 オスカルがマドリーの下部組織に入団したのは2009年、11歳のときだった。昨夏にはトップチームのプレシーズンツアーに帯同し、インターナショナル・チャンピオンズカップでのマンチェスター・シティ戦で得意のロングシュートからゴラッソも決めている。

 素顔は家族を大事にするシャイな青年で、今夏レガネスへのレンタル移籍が決定する前に、マドリーと2023年まで契約を延長。契約解除金は3億ユーロに跳ね上がった。その無限大の将来性を考えると、レガネスを勝利に導いたゴールは宿敵に向けたほんの挨拶代わりの一撃と言えるのかもしれない。


文●パブロ・ペレス(エル・パイス紙/レアル・マドリー番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 

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