【鳥栖】「いやいや、入ってますから」妥協を許さない権田修一のGKとしての矜持

2018年09月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「10本シュートが来たら、10本止めるのが仕事」

ジェイのPKストップなど、札幌戦ではいくつかのファインセーブを見せた権田だったが、結果的には2失点でチームも敗戦と、悔しい結果に終わった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ28節]札幌 2-1 鳥栖/9月29日/札幌ド
 
 最終的には、三好康児の強烈なシュートと、都倉賢のPKを防げず、2失点を喫した。ただ、26分にはジェイのPKを完璧に読み切ってストップ。それ以外にも、いくつものファインセーブでピンチをしのいでいる。GK権田修一の奮闘がなければ、鳥栖は大量失点で惨敗していたかもしれない。
 
 しかし、その好守を称えても、権田は「結果がすべてなので」と耳を貸さない。
 
「僕の場合、10本シュートが来たら、10本止めるのが仕事。変な話、40本打たれて、39本は止めました、でも残り1本を決められて負けたら意味がない。サッカーは結果なので」
 
 1-1で迎えた終了間際の都倉のPKもしっかり反応できていたが、「惜しかった」とか「あとちょっとだった」とは言わない。「いやいや、入ってますから。決められたけど反応はしていたっていうのは、FWがシュートを打って、止められたけど枠には飛んだ、と言っているのと一緒」と独特の言い回しで、自らのパフォーマンスにダメ出しをする。
 
 その都倉のPKは、微妙なジャッジだった。自陣ペナルティエリア付近で、高橋祐治が都倉を後ろから倒してしまう。問題はその場所で、エリアの外か中か、判断の難しいところだったが、主審はPKを宣告した。
 
 勝敗を左右したジャッジについて、権田は「それもサッカーの一部」と言う一方で、そればかりにフォーカスしてしまう危険性についても言及する。
 
「たとえば、ここから毎試合、怪しい判定で変な風に負け続けて、J2に降格したとします。じゃあ、降格をレフェリーのせいにするのか。それでは成長がないですよね」

 なぜあそこまで攻め込ませてしまったのか、なぜ攻撃では1点しか取れなかったのか、なぜあのPKを止められなかったのか――。勝てなかった理由を誰かのせいにするのではなく、自分たちの戦いぶりをしっかりと検証して、どんな結果であっても、課題があれば修正すべきだと権田は強調する。
 
「勝っていても、修正しなければいけないところは修正しないといけない。そういうところをチームとしてもっとできれば。来年もサガン鳥栖としてサッカーは続くので」
 
 目の前の苦境をどうすれば乗り越えられるかを自らに厳しく問いかけ、クラブの可能性を信じながら、権田は一切の妥協を許さないスタンスで、熾烈な残留争いを勝ち抜くために全力を尽くす覚悟でいる。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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