湘南に秋元陽太あり!川崎から勝点1を奪うビックセーブ2連発が生まれた舞台裏

2018年09月27日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

絶体絶命の大ピンチを秋元はいかにして乗り越えたのか

最後尾でチームの窮地を救った秋元。彼の存在なくして、川崎から勝点1を奪うことはできなかったはずだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ18節]湘南0-0川崎/9月26日/BMWス
 
 湘南がリーグ屈指の攻撃力を誇る川崎とスコアレスドローで終えられたのは、守護神の存在があったからだ。
 
 9月27日、台風の影響で延期されていた18節の湘南対川崎の一戦が行なわれ、ホームチームの守護神として川崎の前に立ちはだかったのが秋元陽太だった。
 
 チームは序盤から劣勢に立たされ、自陣で我慢を強いられる。加えて、試合前から大雨と強風に晒され、ピッチコンディションは最悪。湘南の背番号1もスリッピーなグラウンドに苦戦し、前半終盤と後半序盤にキャッチミスを犯すなど難しい状況でのプレーを余儀なくされていた。ただ、それ以外は大きな失策はなく、きっちりとゴール前で自らの役割を遂行していく。
 
 0-0で試合は推移。最終盤に差し掛かった状況で、秋元に見せ場がやってくる。まず、84分だ。大野和成がボールを高い位置で失うと、川崎にカウンターを仕掛けられる。パスカットをされてから3秒でペナルティエリア内に迫られ、右サイドを抜け出した小林悠がゴール前でフリーになっていた知念慶に折り返す。
 
 誰もが失点を覚悟した絶体絶命の大ピンチ。ここで秋元は驚愕のプレーを見せる。相手がワントラップした瞬間にコースを見極め、右手一本でボールを掻き出したのだ。
 
 このシーンを振り返り、秋元は決して勘だけで守ったわけでないという。「守り方がしっかりとできていた。悠から知念にパスを出させて、そこで勝負しようと頭の中で思っていた。グラウンド状況が悪かったので、シュートを強く蹴れないことは分かっていた。なので、先に動かないほうがいいなと考えていたんです」と、イメージ通りのプレーだったとした。すべての状況を頭に入れ、最善の選択をした守護神の洞察力には恐れ入る。
 
 そして、秋元は続く85分にも大仕事をやってのける。岡本拓也が小林を倒して迎えたPKだ。キッカーは小林。さすがに厳しいかと思われたが、秋元は慌てなかった。小林はGKがどちらかへ動くと読んでど真ん中に蹴り込んできたが、これを見極めて完璧に止めたのだ。

次ページ「最後まで動かなければ真ん中に蹴ると思っていた」(秋元)

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