堂安律の凄みはテクニックだけではない!“最大の長所”は?

2018年09月12日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

特に印象的だったのが、ふたつの決定機

堂安はコスタリカ戦でついにA代表デビュー。随所に高い能力を披露した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2018]日本 3-0 コスタリカ/9月11日/パナソニックスタジアム吹田

 20歳の堂安律が示したのは、巧みな技術だけではなかった。
 

 9月11日のコスタリカ戦で20歳の攻撃的MFが、ついにA代表デビュー。1997年以降生まれの東京五輪世代では1番乗りで、今回選ばれた3人の同世代では唯一の出場となった(堂安の他には、伊藤達哉と冨安健洋が選出されていた)。
 
 昨季オランダのフローニンヘンでリーグ戦9得点・4アシストを決めて、サポーターが選ぶMVPに選ばれている堂安は、Jリーグや海外サッカーにも詳しいファンには、当然名の知れたタレントだ。一方で、例えばロシア・ワールドカップから日本代表に興味を持った人からすれば、そのプレーを見るのは、今回が初めてだったかもしれない。ただ、そんなファンから見ても、堂安の存在はセンセーショナルに映ったはずだ。
 
「前半は、まず守備のところ。守備では特長がないので、とにかくハードワークしようと決めて入りました。前半はそんなに良いプレーが見せられずにいたけど、スペースが空いてくるだろう後半になんとか巻き返そうという気持ちがありました。ああいうチャンスも生まれましたし、そういうところではすごく楽しめた85分くらいでした」
 
 そうデビュー戦を振り返る新鋭アタッカーは、右サイドハーフで先発出場すると随所に高い能力を披露。巧みなボールコントロールやキレ味鋭いドリブルなど高度な技術を見せつけ、森保一新監督に好アピールした。
 特に印象的だったのが、ふたつの決定機だ。まずは59分、小林悠のスルーパスに抜け出すと、エリア内からフワリと浮かせたシュートでゴールを狙ったシーン。惜しくもゴールには至らなかったものの、最終ラインの裏に飛び出しながらGKの位置を確認してループシュートを選択するあたりに、非凡なセンスが表れていた。
 
 さらに64分には南野拓実のシュートのこぼれ球をいち早く拾うと、DFをかわして右足で際どいシュートを放つ。この場面でも、あえてダイレクトでシュートを打たずに、ひとつフェイクを入れてフリーな状態を作り出した一連の動きには、20歳とは思えない落ち着きを感じさせた。
 
 とはいえ、冒頭に記したとおり堂安の凄みはテクニックだけではない。その最大の長所は、メンタル面にある。

次ページ成長を早めているのが、こうした結果への強いこだわり

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