【J1・15節 クローズアップ】柏木陽介、再開初戦の勝利にも妥協せず|浦和 1-0 新潟

2014年07月20日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

消化不良の内容にチームと自身に苦言を呈す

勝ちはしたものの、内容に不満を漏らした柏木。3連勝、6試合連続の無失点にも気を引き締める。(C) SOCCER DIGEST

 浦和がオウンゴールによる1点を守り抜き、首位をキープした。前半はポゼッション率で上回り、遅攻と速攻を織り交ぜた多彩な攻撃で新潟を圧倒。16分には素早い切り替えから平川が右サイドを疾走し、DFとGKの間に鋭いクロスを入れてオウンゴールを誘う。その後も2ボランチの阿部と青木がバイタルエリアを締めて守備を安定させ、攻撃では2シャドーの柏木、梅崎を起点にチャンスを作った。
 
 後半はラインが下がって新潟の猛攻を受けたが、「渋い勝ち方だったけど、マークをぼかさなかったし、振り回されている感じもなかった。守備の手応えはありました」(宇賀神)とキッチリとゼロで抑え切った。会心とはいかないまでも、劣勢を耐え抜いた勝点3は価値あるものだろう。
 
 しかし、選手たちは一様に課題を口にした。
「勝ちに徹する戦い方も必要だけど、自分たちのスタイルも求めていきたい」(宇賀神)
「これもひとつの形だけど、もう少しボールを動かして試合をコントロールしたかった」(鈴木)
 
 なかでも、渋い表情だったのが柏木だ。
「勝ったのは素晴らしいし評価できるけど、個人的にはサッカーをしてない。今日はシャトランとかマラソンをした感じです」
 
 前半は気の利いたパスで攻撃の潤滑油になったかレフティーだが、後半は完全に押し込まれて守備に追われ、持ち味の攻撃センスを発揮できなかった。それでも手を抜かずに相手ボランチにプレッシャーをかけるなど守備で貢献したものの、反撃の糸口すら見出せなかった自身やチームのパフォーマンスに、不甲斐なさを感じたのだろう。さらに、強い口調で修正点を述べた。
 
「後半はだんだんラインが下がって、ペナルティーエリアくらいまで下がっていた。そこから攻撃に出て行くのは難しい。もっとラインを上げて前からプレスをかけないといけない。世界はそういうサッカーをやっている。そこを目指すべき」
 
 批判するのではなく、チームオーダーに従いながら、さらに上のレベルを求めて苦言を呈す。柏木だけでなく、すべての選手が共通認識を持って結果につなげつつ、さらなる進化を追い求めているのだ。勝っても満足しないその姿勢は、浦和のさらなるステップアップを予感させる。そして、彼らのサッカーが次のステージに進んだ時には、柏木は本来の非凡なアイデアを存分に披露していることだろう。

取材・文:五十嵐創(週刊サッカーダイジェスト)
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