“指揮官”デビューの本田圭佑は初陣でいかに振る舞い、敗戦にどんな印象を抱いたのか?

2018年09月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

「トップ・オブ・ザ・トップを追求しなければいけない」

本田がカンボジア代表の実質的な監督として“指揮官デビュー”を果たした。今後、チームをどう導いていくのか楽しみだ。

 元日本代表MFの本田圭佑は10日、ゼネラルマネジャー(GM)として実質的な監督を務めるカンボジア代表の初陣に臨み、1-3で逆転負けを喫し、自身の船出を白星で飾ることはできなかった。

 
「結果が出なかったのは僕の責任。確実に敗因には理由がある。今晩はそれを考えることに時間を割くと思う」と本田は試合を振り返った。
 
 試合開始3時間前から降り始めた豪雨で、30分の遅延となったマレーシア戦。選手ではなく、采配を振るう指揮官としてピッチサイドに立った本田は、黒のシャツに同色のズボン、両手にトレードマークの腕時計をつけて、腕組みやポケットに手を入れるなどし、冷静に戦況を見守った。
 
 システムは攻撃的な4-3-3の型を採用し、攻撃ではショートパスを多用して敵陣に攻め込み、守備ではハイプレスを仕掛けてボールを奪っては再び速攻で好機をつくった。
 
 18分、右FKの折り返しをセウイ・ウィサルが左足で豪快に蹴り込み先制点を奪う。過去47年間勝ち星のないマレーシア相手に幸先よく先手を取り、選手たちは喜びを爆発させたが、そこは百戦錬磨の本田。ピッチ上でも見せていた不動の心を指揮官としても示し、選手たちに「落ち着け」と呼びかけた。
 
 冷静さを取り戻したチームは、前半は畳みかけるように攻勢に出たが、血気盛んにいき過ぎてしまい体力を消耗。後半は動きが悪くなり、流れが急転した。62分に同点ゴールを許すと、本田は直後に2枚の交代カードを切り、10分後にも2選手を同時にピッチへと投入。速さのある選手など計6人の交代策を使い、最後まで攻めの姿勢は貫いたが、悪くなった流れは変えられない。試合は一気に相手ペースとなり、1-3で逆転負けした。
 
 試合が終了し、初仕事を終えた本田。ピッチの一点を見つめた直後に水を一飲みし、スタンドからの「ホンダ~」というコールに両手を挙げて応えた。
 
「残念ながら負けてしまったが最初の30分は素晴らしかった。スタミナの問題はあるが、誰だって90分完璧に走れる選手はいない。いかによくプレーできるかが大事なんだ。選手たちは僕の哲学についてきてくれている」
 
 手応えと課題を口にした"本田監督"。メルボルン・Vでプレーする一選手が、一代表チームの監督を兼任するという異例の挑戦。これからの道でも困難が予想されるが「トップ・オブ・ザ・トップを追求しなければいけない。今日の敗戦を忘れることはない」とその視線はカンボジア代表の明るい未来だけを見据えている。
 
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