「エムバペと比べれば遅いけど…」堂安律にとって、代表デビューが大きな転機になりそうな予感

2018年09月11日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「明日自分はどうなっているんだろう。今はワクワクしている」

オランダで結果を残す堂安が、代表デビューに向けて意気込みを語った。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表に初選出された堂安律が9月10日、大阪府内にて翌日のコスタリカ戦に向けてトーレニングをした。
 
 ガンバ大阪の下部組織で育った堂安にとって、思い出の地、パナソニックスタジアム吹田での代表戦には燃え上がる想いがあるだろう。それと同時に、今は日本を背負っている覚悟も芽生えている。
 
 それでも堂安は、「プレッシャーはあっても、ネガティブになったりはすることはない」とキッパリ。
 
「代表としてプレーすることをイメージできなかったし、明日のピッチに立った時の感覚なんて今は分からない。もしかしたらフワフワするかもしれない。でも悪いことではなくて、明日自分はどうなっているんだろうと、今はワクワクしています」
 
 プレッシャーにはある意味、慣れている。
 
 2017年の夏にオランダのフローニンヘンに期限付きで移籍を果たす。しかし、もしその年に結果が出なければ、夢の海外挑戦は半年で幕を閉じていたかもしれない。
 
 しかし、堂安は重圧に打ち勝ってみせた。初年度からリーグ29試合に出場し、9得点・4アシストと小さくないインパクトを残し、同クラブのサポーターが選ぶMVPにも選出。そして今季から、見事に完全移籍を勝ち取ったのである。
 
「結果を残さなければ、日本に帰ってプレーしなければいけないかもしれなかった。その生きるか死ぬかの戦いのなかで培われた大事な力だと思います」
 オランダでの1年間で身についたのは、勝負強さだけではない、
 
「ゴール前の質。得点感覚はまったく今までと違う。例えば89分間、調子が悪くても、1点はとれるという感覚が今はある。もちろん90分を通してずっと良いプレーができれば良いですけど、最悪そういう考えにもなれるようになった。そこは成長した部分かなと」
 
 オランダでの1年目でコンスタントに結果を残し続けたからだろう。ゴールへのこだわりは一層強くなり、それだけの自信がついた。
 
 心身ともに逞しくなり、プレー面でも飛躍的に成長する堂安だが、しかし20歳の代表選出に決して満足していない。
 
「昔の自分の考え方が思い出せないですけど、今では、エムバペとかを見ているので、それと比べればやっぱり遅い。ただこの年齢でチャレンジさせてもらえるので、すごく有難い経験になると思っています」
 
 意識するのは、キリアン・エムバペ。堂安と同じ1998年生まれながら、18歳95日でフランス代表デビューを果たし、ロシア・ワールドカップでは10番を背負い優勝に貢献した新星だ。
 
 いまや名実ともにワールドクラスの仲間入りを果たした怪物に追いつけるか。堂安にとっては今回のコスタリカ戦が、さらに飛躍するための大きなきっかけとなるかもしれない。デビューに期待したいところだ。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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