【ドイツ発】 新天地ニュルンベルクの攻撃を一手に担う久保裕也、手応えも自信も十分!

2018年09月07日 中野吉之伴

チームのほぼ全ての攻撃において起点となる

ドイツの専門誌『Kicker』も、マインツ戦の久保については「全てのチャンスが彼から生まれた」と高評価。より周囲との連係が高まった時のプレーが楽しみである。 (C) Getty Images

 昇格クラブのニュルンベルクにとってブンデスリーガ第2節のマインツ戦は、待ちに待った今シーズンのホーム開幕戦だった。
 
 4年間の2部リーグ生活に終わりを告げ、1部リーグに返り咲き。キャプテンのハンノ・ベーレンスが「街中のみんなにとって大きな夢だった。それが本当になったんだ!」と喝采を叫んだ。
 
 ファンの気持ちの高ぶりは、もちろん最高潮。彼らの熱気は、スタジアムに向かう電車の中でも、すでに感じ取れた。
 
 スタンドからの声援に後押しされたニュルンベルクは、立ち上がりから精力的に戦い続ける。ただ、ミスが多い。焦りもあるのだろうが、中盤から前線にほとんどパスが繋がらない。
 
 そうこうしているうちに、相手にワンチャンスから得点を許してしまう。25分、左サイドのアーロン・マルティンにゴール前へクロスを上げられると、競り勝ったジャン=フィリップ・マテタに高い打点のヘディングシュートを決められた。
 
 ニュルンベルクは攻撃のかたちがなかなか作れなかったが、セットプレーからの武器があった。48分、エンリコ・ヴァレンティーニのCKから、ミカエル・イシャクが右足で待望のゴールを決める。実に、2014年5月10日以来、1620日ぶりとなる1部での得点だった。
 
 その後は、ニュルンベルクが一方的に攻め続ける。同点ゴールの勢いがあったからだけではない。後半からのシステム変更が、全体のバランスを好転させたのだ。テコ入れされたのは、久保裕也のポジションだった。
 
 この試合、左サイドで先発出場していた久保だが、前半はほとんどゲームに絡めないでいた。チームの攻撃は右サイドに集中し、DFラインから前線へのパスも出てこない。好機もあるにはあったが、単発に終わった。
 
 そこでミヒャエル・ケルナー監督は、後半から久保をトップ下に配置した中盤ひし形の4-4-2にシステムを変更。これで、攻守のバランスがだいぶ改善された。
 
 久保は前線でスペースを探しながら、攻撃が停滞していると、中盤の低い位置まで下がってボールをもらう。パスを引き出しても、そこで奪われたり、攻撃のリズムを崩したりすれば、チームにとってプラスにはならないが、彼は足下に収めてタメを作り、時に相手の当たりをうまくいなしながら、パスを左右に散らしていく。
 
 ニュルンベルクは、ボールの預けどころができたことで、守備ラインからの精度の低いフィードボールが極端に減った。
 
 ただ、繋ぎの役割をこなすだけでは、トップ下の選手としては物足りない。久保は一度ゲームメイクに顔を出すと、すぐに前にポジションを取り直し、チャンスにもどんどん絡んでいく。
 
 この日、ニュルンベルクは19本のシュートを放ったが、そのほとんどは久保が起点となったものだった。自身はシュート4本と、シュートに繋がるパス3本を記録。だが、あとチームは1点が取れなかった。

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