「ガンバには猛反対された」韓国指揮官が“エース招集”を巡る押し問答を振り返る

2018年09月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

飛躍の“夏”を経て、苦境のG大阪を救えるか

この夏にキャリアの大きな分岐点を迎えたファン・ウィジョ。復帰後のJリーグでは、ガンバを降格圏から救う奮迅の働きが求められる。(C)REUTERS/AFLO

 ガンバ大阪のエースで、先のアジア大会・サッカー競技で9得点を挙げて得点王に輝いたFWファン・ウィジョ。金メダル奪取で兵役を免除されることになったストライカーだが、その招集に関しては、韓国サッカー協会とクラブ側の間でひと悶着があったようだ。
 
 9月6日、アジア大会でU-23韓国代表を率いたキム・ハクボム監督がソウル市内での凱旋会見に臨んだ。そのなかで、大会前に"コネ招集"だと揶揄されながらMVP級の働きを見せたファンについても言及。思いの丈を明かした。
 
 指揮官とファンはかつて城南FC時代に師弟関係にあった。昨年夏からG大阪に籍を置くファンは今季開幕後からJリーグでゴールラッシュを決め込んでいたものの、韓国代表からお呼びは掛からず、ロシア・ワールドカップも落選。それでもキム監督は愛弟子の動向を常に追い続け、オーバーエイジ枠の有力候補と見なしていたという。
 
「スタッフとも多くの協議を重ねたなかで、ウィジョの調子がすこぶる良いぞ、これは招集するしかないだろうとの結論に至った。実際に私自身が大阪に足を運んで状態をチェックもした。で、招集したい旨を伝えたんだが、所属するガンバからは当初、猛反対を受けてね。でも私もそう簡単に引き下がるタイプではない。辛抱強く交渉を続けたんだ」

 
 送り出すG大阪にしてみれば、残留争いの苦境のなかで最大の得点源を持っていかれるのだから堪らない。ましてやアジア大会はFIFA(国際サッカー連盟)が定める国際Aマッチではないため、派遣の義務が生じない。それでもキム監督とファンの強い要望を最終的には容認し、渋々ゴーサインを出したというのが本当のところだろう。
 
 五輪代表監督はこう続ける。
 
「城南で一緒にやっていた頃より格段に成長していたよ。日本で多くを学んだのかもしれないね。当初、ウィジョの選出には世論から大きな反発があったけれど、私には確信めいたものがあった。きっとやってくれるだろうという確信がだ」
 
 ファンはFWソン・フンミン、GKチョ・ヒョヌとともにオーバーエイジ3人衆を形成し、若きチームを大いに盛り立てて頂点へと導いた。そして、パウロ・ベント新監督の下で新たな船出を切るA代表にも選出されている。チームはこの国際Aマッチウイークにコスタリカ、チリとの2試合を戦う予定だ。
 
 恩師の英断によって抜擢登用され、代表チームでのステータスを一気に向上させたファン・ウィジョ。26歳の本格派は飛躍の"夏"を経て、帰還するG大阪になにをもたらすのか。Jリーグ終盤戦でのハイパフォーマンスにも期待だ。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事