【J2】湘南・曺 貴裁 監督インタビュー「J1やACLを目指し、もう一度チャレンジしていく」

2014年07月17日 小田智史(サッカーダイジェスト)

選手個々がグループになり、チームになってきたことで独創性やアイデアが出てきた。

今シーズンで就任3年目を迎えた曺監督。驚異の快進撃を語るうえで、指揮官の存在は外せない。(C) SOCCER DIGEST

――チームは開幕から14連勝。20勝1敗、勝点60(21節終了時)とJリーグ史に残る「首位独走」で前半戦を折り返しました。
「結果を振り返れば、本当に良い数字だと思います。ただ、このチームはまだまだ伸びていける。試合に出場している選手も、なかなかピッチに立てなかった選手も含めて、常にチームとしての『最大値』を考えてやっているので、100点とも言えないし、当然ながら0点でもない。点数を付けるのは難しいですね」
 
――好調の一番の要因は?
「選手全員が日々の練習にテーマや課題を持って100パーセントで取り組んでくれているし、監督に言われた内容をこなすだけではなく、自発的に考えていると思います。よく『湘南スタイルに酔うな』と伝えるんですけど、自分のプレーがどう勝ちにつながっていくか、あるいはJ1基準ではどうだったのかを客観的に見る目を持つことが大事。考える力が、選手個々をグループに、そしてチームへと成長させてくれる。今季はピッチ内での独創性やアイデアが多く見られるようになってきましたね」
 
――選手たちからも「考える力」という言葉が頻繁に聞かれ、チームにそうした意識が浸透している印象を受けます。
「完全にではないですけど、ひとつの現象だったり、ひとつのプレーに対して、僕が説明する前に選手自身で整理ができつつあります。新戦力にしても、湘南の良いプレー、悪いプレーの基準について、ある程度理解が深まってきたかなと」
 
――「継続と深化」が今季のテーマですが、やはり継続による成果が大きいでしょうか?
「継続と深化はそれぞれが独立したものではなく、同時に進行していくもの。継続だけではダメで、スタイルを大事にしながらも、勝負にこだわるためにはなにが必要なのかという『深化』があってこそ意味がある。選手たちも過去2年から学び、意識してくれているのかなと感じます」
 
――昨シーズンの主力がチームを去り、開幕前には古林将太選手も故障離脱しましたが、新加入選手がスムーズに溶け込んでその穴を感じさせません。
「去年は去年で彼らがいたストロングポイントがあったし、今年は今年で新しい選手が来たことで生まれたストロングポイントがあって、どちらが上で、どちらが下という基準では考えていません。(ハン)グギョンや(高山)薫、(大野)和成がいなくなったからといって成長できないチームではないと思うし、大事なのは今いる選手が持っている最大値を出すことなので。
 ただ、新加入選手が戦術に馴染む時間がもう少し必要かなと考えていましたが、そこは予想以上に早かったですね。(菊地)俊介は初めてボランチをやるし、三竿も3バックの左は去年に特別指定選手としてプレーした時にしか経験していない。(藤田)征也や(岡田)翔平らも含めて、彼らがチームの戦術に対して真摯に取り組んでくれたおかげで、今までいた選手が刺激を受けて伸びる相乗効果につながっています」

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