4試合未勝利のFC東京。長谷川監督がドロー決着の湘南戦をポジティブに捉えた理由は?

2018年08月27日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

指揮官が伝えたのは「東京の前半戦の良い形がどうやって始まったのか」

献身的なプレーで攻守を支えた太田。湘南戦のFC東京はこれまでの3試合とは異なり、球際で強さを発揮していた。(C) SOCCER DIGEST

[J1リーグ24節]湘南0-0FC東京/8月26日/BMWス
 
 圧倒的に攻めながらも0-0。FC東京は最後までゴールを奪えなかった。4試合ぶりの勝利は掴めず、優勝争いからも一歩後退。首位の広島とは勝点差11となり、悲願のリーグ優勝は非常に厳しくなったと言えるだろう。
 
 ただ、長谷川健太監督はまったく下を向いていない。「中3日の連戦で選手たちは持てるものを全て出してくれた。勝点1を獲れたことは大きい」とし、過密日程の中で引き分けに持ち込めた点をポジティブに受け止めた。
 
 ではなぜ、長谷川監督は湘南戦の結果を前向きに捉えているのか。それは、湘南戦でチームの原点を取り戻せたからである。

 今季のFC東京は堅守速攻で勝点を積み重ねてきた。そのスタイルを体現すべく、選手たちはハードワークを厭わない。しかし、直近の試合は連戦の疲労などから、良さが消えつつあった。
 
 そうした状況を踏まえて、指揮官は選手たちへ「東京の前半戦の良い形がどうやって始まったのか」と試合前に話した。
 
「球際でアグレッシブに戦って欲しい。シュートブロックにも甘さがあるから、もう半歩寄せないといけない。攻撃に関しては得点が取れていない状況だけど、今まではセカンドボールを押し込んで点を取ったりしていた。でも、形にこだわってしまうことや、きれいに得点を取ろうとして泥臭く点を取るところが失われつつある」
 
 こうした言葉で発破をかけ、指揮官はこの試合で原点回帰を選手たちに求めた。
 
 実際、湘南戦で選手たちは粘り強く戦っていた。球際でファイトし、セカンドボールにも必死に喰らい付いていく。「(戦うことやハードワークを)愚直にやってくるチーム」と長谷川監督が称した湘南を凌駕するプレーで、最後までゴールは許さなかった。

 試合後に太田宏介が「決め切れなかったことが上位陣との差」と反省の弁を述べたように、勝負を決められなかった攻撃面は反省すべきである。ただ、守備陣は4試合ぶりの無失点で終えた。2点のリードを守り切れなかった前節の札幌戦を考えれば、前進した証だろう。

「大事なことは継続」と太田が言うように、チームは湘南戦で戦い方を再確認できた。そのパフォーマンスに長谷川監督も「気持ちは伝わってきました。決め切れなかったですけど、そこを突き詰めてやっていくしかない」と、選手たちの姿勢に一定の評価を与えている。FC東京は湘南戦をきっかけに再浮上を狙う。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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