「前半はポゼッションできていたが…」イニエスタが指摘した神戸の課題と理想

2018年08月23日 五十嵐創(サッカーダイジェストWEB)

「相手陣内で、相手にとって危険なプレーをすべきだった」

途中出場のイニエスタが前線でタメを作り、攻撃のバリエーションを広げた。写真:徳原隆元

 元スペイン代表のフェルナンド・トーレスとアンドレス・イニエスタの"直接対決"に注目が集まった天皇杯4回戦のサガン鳥栖対ヴィッセル神戸は、ホームの鳥栖が3-0で勝利し、準々決勝進出を決めた。
 
 この試合で、神戸のイニエスタは、56分から途中出場。2点ビハインドのなかピッチに立ち、巧みなドリブルと配球で攻撃を操ったが、チームはゴールが奪えずにアウェーで完敗した。
 
 19日の湘南戦で左足を打撲していたイニエスタは、ベンチで戦況を見守った前半の出来を次のように総括する。
 「チームとしてもう少し相手陣内で、相手にとって危険なプレーをすべきだったかなと思います。特に前半は、ポゼッションはできていましたが、ウェリントンが放ったポスト直撃のシュート以外は、ほとんどチャンスをクリエイトできていませんでした」
 
 イニエスタが言う通り、前半の神戸は最終ラインや中盤でボールは回るものの、そこからサイドや中央へ展開しても、鳥栖の分厚い守備を崩すまでには至らなかった。そうしたプレーが、イニエスタには、「相手陣内で、相手にとって危険なプレーをすべきだった」と映ったのだろう。
 
 実際にイニエスタがピッチに立った後半は、彼自身が相手の守備のギャップに入り込み、ボールを受けては前を向き、相手を引き付けてからスペースへ配球して味方のスムーズな攻撃参加を促した。前半はまるで沈黙していたルーカス・ポドルスキがミドルレンジから積極的にシュートを放てたのは、イニエスタが高い位置でタメを作り、攻撃のクッションになっていたからだ。
 
「この試合で犯したミスを分析し、再びミス犯さないように準備していきたいと思います」
 
 そう語ったイニエスタの理想は、当然ながら高い。チームのパフォーマンス向上ももちろんだが、「目標はACL出場」とクラブ史上初のアジア進出も視野に入れている。「それができるだけの選手は揃っていると思う」と信頼を寄せられるチームメイトたちは、その期待に応えられるのか。まずは26日に行なわれるJ1リーグ24節の横浜戦での"修正"に注目したい。

取材・文●五十嵐創(サッカーダイジェストWEB)
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